- 作者: 三浦瑠麗
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2012/10/19
- メディア: 単行本
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「デモクラシーが攻撃的になるとき」と副題がある。「丁寧な取材に裏付けられた挑発的な議論」とカバー折り返しにも書いてある。
えっ
いや近代国家って大抵の場合文民統制が成されていますし近代国家ってしょっちゅう戦争やってますし、そもそもデモクラシーがどれほど攻撃的な政治体制かってことを我々は太平洋戦争で嫌と言うほど学んできたのではなかったか。ちょっとそんな胡乱な気持ちを抱きつつ、でも日本で時々見られるような「シビリアン・コントロール」を「そこらへんを歩いてる無名市民が何の付託も投票選出も得ずに国政にコミットすること」だと誤解してる向きにはいい薬かも知んない。
アドルフ・ヒトラーだって投票を通じて選出された文民だし、シビリアンだのデモクラシーだのが須らく平和指向だと思ってる人がいるならそりゃ感違いも甚だしいところで、ではなぜ国民全体、主権者が好戦的・攻撃的になるのかは興味の湧くところではある。そもそも人類がそういう生き物だからなあって気もするけどね(笑)
今日の安定したデモクラシーでは、シビリアンと軍の分断が進むことは、軍の独走などの危険性を生むのではなく、むしろ軍の孤独を深め、リスクを回避させる方向へ働くといってもいい過ぎではないだろう。
(中略)
シビリアン・コントロールが強い国では、軍はシビリアンの求める戦争に応じない選択肢はなく、シビリアンがやりたがらない戦争をする自由もない。
クリミア戦争からイラク戦争までに至る様々な事例を引いて、軍人の側が文民よりも戦争を忌避した構図を見せる。そういえば日米開戦前にも「我が帝国の海軍はおよそ米英と戦争が出来るようにはなっておりません」てなことを言ってたのは、ありゃー誰だったかなあ。当時の日本は文民統制下ではないのでこの話は載ってないんだけど。
しかし「緩やかな徴兵制度の復活ないし予備役兵制度の拡充により」市民と兵士の格差を縮めてコストと痛みを均衡化させようってのは無茶だと思います。なんだよその結論ww