ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

ベン・アーノロヴィッチ「空中庭園の魔術師」

空中庭園の魔術師 (ハヤカワ文庫FT)

空中庭園の魔術師 (ハヤカワ文庫FT)

「ロンドン警視庁特殊犯罪課」シリーズ第四巻。今回で邦訳が原著刊行に追いついたそうで、続きはしばらくかかるのかな?ささいな事件をきっかけに大きな犯罪に広がっていくのは従来通り、今回もまた「顔のない男」の暗躍が(まあ、割と淡々と)続くのだけれど最後の最後で急展開。うーむ、いや、うーむ。

今回はスカイガーデン公営団地という建造物が話の鍵を握っているのだけれど、架空の建物であるが故にかイマイチ建築萌え度が少なかったような気がします。そしてやっぱりピーター君よりレスリーさんに同情しちゃうものなので、彼女の意外な行動にも、むしろ納得しちゃうんだよな…

ほのめかしや推測ばかりでナィティンゲール本人をはっきり描かないことはキャラクター性の弱さにつながっていて、そのことはこのシリーズの欠点だと思う。今回強力な魔術師と一対一の対決を繰り広げるのだが、肝心のピーター君が現場に居ないのでことの詳細が描写されないのよね。