ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

「キングコング 髑髏島の巨神」見てきました

公式。開始早々コングが出て来て最後までどったんばったん大騒ぎ…という点では極めてけものフレンズでした。

 で、ほんとうの愛はそこにあったのかと言われたらこれがまた本当にあったのでビックリした。これまでキングコングと言えば手のひらサイズの動いてしゃべるお人形にハァハァしてビルから落ちるダメなオッサンのようなイメージがあったけれど、今回はひと味違う。ヒロインのウィーバーとは交流こそすれ鼻の下を伸ばすようなことはなく、絶海の髑髏島の片隅で細々と生きる原住民を守る神様である。これまで人類がデカいゴリラを崇めたて祀る様は幾度も描かれてきたけれど、ゴリラの方で積極的に人類を守るというのは初めて見た。人間を守ることについては特に理由がなく、精々が「弱い生き物だから」程度なところで、それを踏まえて「この島で、人類は最弱。」という宣伝コピーを考えた人のセンスはすごいと思います。コングが強いことと人間が弱いことが、この作品ではひとつのセットになってるわけで。

 

米帝は鬼畜なので人間の埒外ですよ同志。

 

1973年を舞台にして「地獄の黙示録」や「博士の異常な愛情」など異様にモチーフの使用が濃かったんだけど、そこにはなにか意味があったのだろうかあーいやコンラッドとかマーロウとか、クスクス笑えて面白いんですけどね。久しぶりに大画面で見たNAM戦装備とかね。

 

如何にもありがちな「好戦的な軍人」であるところのパッカード大佐をサミュエル・L・ジャクソンにやらせてるところは面白かったですね。普通はWASP的人物をあてそうなものだけれど、70年代、公民権運動の盛んな時代にアフリカ系アメリカ人(なんてワードはまだ発明されてなかったが)がベトナムでヘリコプター部隊の大隊長をやってるって設定。そういう人物が不本意なままベトナム撤退を余儀なくされ、代わりについた任務先で部下を失い、復讐を求め…

 

まあ死んじゃうんだけどな。死んじゃうんだけれど一概に否定も出来ない不思議な人物造詣だった。人物で言えば中国系(?)の女性科学者サン(演じてるのは「グレートウォール」にも出ているジン・ディエン)がただスクリーンに映ってるだけの綺麗どころで特に何もしないのは中国市場(と出資者)に気づかいしなけりゃならないレジェンダリー大変だなーとか、本編にさほど関係が無いのに日本人と日本刀を無理くり活躍させてるところは日本市場(とオタク)に気づかいしなきゃならないレジェンダリー大変だなーとか、そんなことを思ったりだ。

 

第二次大戦から30年以上経っても綺麗なままの米軍フライトジャケットとかピカピカな日本刀とか野ざらしメンテナンスフリーでもバリバリ発砲するB-29の球形銃座とか人間の作る道具は最強だな!誰だよ最弱なんていったヤツはよ!

 

そんで次回作への含みを散々残して終わるわけですが、1970年代の米軍でもかなりいいところまで行けた今回のコングさん、いまだ成長期でもっとデカくなるとはいえ、この先ラドンゴジラキングギドラとまともにやりあえるんでしょうか?モスラとならいい勝負が出来そうですが。

 

あーあーそうそう、終了後席を立つ人のなかから「今回はヒロインが色気担当じゃなかった」「そうそう、なかったねー」みたいな声が聞えてきましたが、

 

君たちは何を見ていたのか。

 

あのすばらしいパイスラッシュ!!水に濡れても全然壊れないカメラ万歳!!!!