ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

マンフレート・ルルカー「鷲と蛇」

鷲と蛇―シンボルとしての動物 (叢書・ウニベルシタス)

鷲と蛇―シンボルとしての動物 (叢書・ウニベルシタス)

世界各所の神話・伝承に現れる鳥類や爬虫類のイメージを拾い、象徴性を調べる研究書。文化人類学は門外漢だがなんのことはない、先頃終了したアニメ「ゼーガペイン」のネタ本のひとつだということで読んだ(苦笑)
ゼーガペイン本編に於いて人類(セレブラム)側の戦闘兵器には神話上の鳥の名が冠され、同じく敵(ガルズオルム)側は蛇のそれが多い。モチーフとしてはともかくストーリー上になんらかの意味合いがあるのかまでは放送当時わからなかったのだが、スタッフによる非公式ブログで紹介されていた本書を読んでみて、なんとなくわかった…ような気がする。単純にガジェットを上手く物語に絡めたように見えた展開が、実は神話的イメージに基づく構図だったりは、するのだろう。

上手いモンです。

以下、ラスト近くのネタバレ含みます

ゼーガペイン・アルティールとガルダがアンチゼーガ・マインディエ内に取り込まれてキョウ以下の面々がガルズオルムと対話する場面、マインディエ自体が小型量子ポータルを持つサーバー機能を有していると解してたんだけど、旧約聖書のヨナ記に代表される「魚に飲み込まれて、そこから再生する」イメージの投影なんだろうな。最後舞浜サーバーを地球に持って帰るアルティールは卵を抱いた鳥以外の何物でもなく、蛇に飲み込まれた人類が殻を破って再生する話ということか。脱皮による永続性ではなく、死亡と誕生の繰り返しこそが無限である、と。