ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

初野晴「1/2の騎士」

1/2の騎士 harujion (講談社ノベルス)

1/2の騎士 harujion (講談社ノベルス)

確かゼロアカの百合本で薦められていたので読んだのですよ。実際手にとって表紙を見た瞬間すわ地雷かと激しく動揺したがそんなことはなかった。

地方都市を舞台に同性愛嗜好の少女が主人公、女装癖のある幽霊の少年を相棒に親友や家族、周囲の人々と共に街に現れるカタカナ名前の異常犯罪者達に立ち向かう――

と書くとなんだか「ライトノベル」のお手本みたいな印象を抱く。が、自分は現在その分野を全然読んでないので的外れにも程がある、かも知れない。そうあってほしいなあとは思うわけで、はじめて上遠野浩平を読んだときの感覚にちょっと似ているような。ブギーポップとは全然違う種類のお話ですけど。

そんなことを考えたのもちょうどたまたまこの話題を知った直後に読んだからで、あかほりに言われたかないんだけれど*1、ともかく本書はキャラも仕掛けも面白くて、新本格でもないれどミステリー畑から出てきた、そんな一冊。むかし木枯らし紋次郎でTV時代劇にありがちな「社会的弱者=善人」の図式を壊した結構エグイ(けど面白い)エピソードがあったのだけれど、もうちょっと踏み込んだら「1/2の騎士」もそうなったかも知れないなーとか考えてみたが。マイノリティは互いに潰し合う、とか。

そうならないから良い話、なんだけれど。

 

前述の通り百合少女本という形で知った本だったけれど、主人公の行動、心理等はむしろ男らしい印象を受けた。いや決して著者近影を見てビックリした訳ではなく。ただ、主人公が同性愛嗜好であるというマイノリティな事実がそれほど社会的ペナルティの枷になってない(述懐はあるが記述はされない)ことはこの作品の――こーゆー使い方でいいんだっけ?――「強度」を弱めている、と思う。

そふとれずだからいいんだけれどな(`・ω・´) bビシッ!

 

*1:だいたいそんなに読者に空白とスカスカを読ませたければ萌え絵を表紙にした「じゆうちょう」でも売り出せばよいのだ。ジュ○プラ○ニ○グの中の人は反対するだろうが