- 作者: デイヴィッド・マレル,山本光伸
- 出版社/メーカー: ランダムハウス講談社
- 発売日: 2005/12/15
- メディア: 文庫
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マレルという人は(訳者あとがきでも書かれている通り)日本ではいささか不幸なことにシルベスター・スタローン主演映画「ランボー」の原作者として名が知られている。そしてたいていの人は知らないのだが原作小説「一人だけの軍隊」は主人公が死亡するラストであって続編などなく、その後のジョン・ランボーがベトナム行ったりアフガニスタンに出向いたりミャンマー(だっけ?)を荒らし回ったりはしない。
日本でマレルの作品が訳出された数ではホラー小説の方が多く、80年代モダンホラー・ブームの頃(ああ、なんて素晴らしい響きなのだろう)は、マレルの作品も良く訳されていました。「トーテム」とか読んだなあ。ブラック・プリンスの三部作は、あれは全部読んだんだか途中で版元が変わったのかであんまり覚えてないんだけれど「オレンジは苦悩、ブルーは狂気」は最近再読して、これは傑作です。*1
さてひさしぶりに読んだ本作「廃墟ホテル」、近年久々に見る「モダンホラー」でした。モダンホラーとはなんぞや。キングである。あるいはクーンツである。だいたいそんな感じ。
大学教授と元教え子3人によって構成される廃墟探索者*2のパーティに自称新聞記者の主人公を加えた一行がアメリカの史実に稀に現れる(アメリカの創作物には頻繁に現れる)頭のおかしな大金持ちが残した閉鎖した高級ホテルの跡を探索し、そこで…という展開。当初はグループのなかの人間関係(男女関係)が不穏であるかのように匂わせ、閉鎖環境での暴走とかそっちの話かと思ったらまー、裏切られる。二転三転する。唐突なようでいてそれなりに伏線引いてあるのはさすがにベテランかな?「ジェットコースタームービー」なんて言葉があったのも、むかしの話ですが。
恐怖の源は伝奇でも超自然でもなくごく普通に人間の只中にある、そんな感じでいかにもモダンホラー。懐かしいね、こういうのは。
そんでやっぱし「ランボー」の作者だなあと思うところもかなりある。そんな見方もどうかと思いますけど(^^;
*1:http://d.hatena.ne.jp/abogard/20101214
*2:作中では「忍び入る者たち<クリーパー>」などと俗称されている