- 作者: チャールズストロング,Charles Stronge,伊藤綺
- 出版社/メーカー: 原書房
- 発売日: 2011/12
- メディア: 単行本
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射撃行為の中でもとりわけ狙撃とそこに携わるスナイパーという存在は人の興味を引きつけるようでいくつも書籍が刊行されています。スナイパーの歴史を著述するという観点では以前読んだ「図説 狙撃手大全」*1と同種の――版元まで同じだ――ものだけれど、こちらは原著翻訳とも2011年ときわめて最近のもので、個別の(あるいは個人の)事例にスポットを当てているのが特徴か。
どこかで読んだような話も頻出で、冬戦争のシモ・ヘイヘ、スターリングラードのヴァシリ・ザイツェフと「ケーニヒ少佐」、ヴェトナム戦争のホワイトフェザーことカルロス・ハスコックなど著名人の著名なエピソードがまあ、出るわ出るわ。秘匿性とプロパガンダを併せ持つのも狙撃行為の特徴と言えましょうか。そこに在るのはある種の達人、プロフェッショナルに対する何らかの敬意と…なんだろうな、結局何が書いてあるかっていったら「銃を撃ったら人が死んだ」ってことが延々繰り返されてるだけなんだけどな。
現代のイラク・アフガニスタンでの事例(著者がイギリス人だからか英国軍関連の話題が多い)まで収録されている反面、個々の記述は簡便で物足りない気もする。現代に話が及ぶとエクスキューズとしての政治的背景・戦闘行為の正当性がまず記述されて免罪構成のようなスタイルを取ってることにもいささか鼻持ちならないところはある。それよりなにより気にくわないことは図書館で借りてきた本がえっらいタバコ臭かったことで、公共の備品を大切に取り扱わない輩は50口径でヘッドショットされるべき。
太平洋戦争当時日本兵相手の対狙撃戦でボーイズ対戦車ライフルや37ミリ砲を用いたという記述は初見で驚きでした。現代における対物ライフルやフォークランドでのATM(現金自動支払機に非ず)使用のルーツのようなものではある。
現代では狙撃手の存在は日々重視され、どこそこのだれそれが何メートルでヒットしたって話がヘッドラインを飾ったりする。そこにはある種の達人、プロフェッショナルに対する何らかの敬意と、プロパガンダの虚飾性が共在するのだろうなと思う。
いやー、なんつかーね、いかにもな狙撃手のいかにもな狙撃姿勢の写真がいくつも載ってるんだけど、これあらかたヤラセのポーズ取りだろうなぁとかね(w