ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

ジョン・ピムロット「ロンメル語録」

ロンメル語録―諦めなかった将軍

ロンメル語録―諦めなかった将軍

タイトルだけ見るとまるでロンメル元帥金言集であるかのような印象を受けるかも知れないけれど、要するに伝記です。伝記とはいえ随所にロンメル本人の書簡や著述からの引用が用いられて“in his owan words”からひととなりに迫っていくようなものか。軍人の日記や自叙伝がどこまで信用の置けるものなのかは問われて良いことだろうけれど*1、著者自身の本文やコラムなどで客観的な姿勢は保たれる、そういった内容。

あまり個人に興味関心はないのだけれど、やっぱりエンターテインメント向きな性格、人生だったように思われます。良くも悪くもロマンティストの琴線に触れるような戦歴と運命か。「結び」で著者も書いてるようにもしも東部戦線に行ってたらまた違った評価を得たのかも知れないけれど、西方電撃戦北アフリカ戦線という(比較的)クリーンな戦場で機微に富んだ戦略を実行出来たことが、現在まで続く名声を得た所以。第二次世界大戦将官ではいちばんプラモデル化されたひとでもあろう。

クレフェルトの「補給線」読んだ後では評価が下がると書いた覚えがあるけれど、決して兵站補給を軽視していたわけでもなく、重要さは当然ながら攻勢を取る必然がそれを上回ったということか。当時のドイツからすれば北アフリカって助攻もいいところでまず第一は対ソ戦なんだけど、イギリス人はあまり認めたがらないかも知れないなあ(笑)

アフリカ失陥後のイタリアとノルマンディーに関してはオマケみたいなものですが、奥さんに筆まめに手紙を送っていたのは微笑ましいことです。ヒトラー暗殺未遂事件への関与を疑われて服毒自決を選んだのも、家族を助けた意味が大きいしで、やはり人好きのする人物ではあり…

とはいえ手塚治虫アドルフに告ぐ」にちょっと出てきたときみたいに美化が行き過ぎると笑っちゃうんだけどな(w

*1:誰とは言わんが某出る大佐の自伝は実際読んだらこれを額面通り受けとって良いのかどうか、気分がかなり急降下した。