The Indifference Engine (ハヤカワ文庫JA)
- 作者: 伊藤計劃,岡和田晃
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/03/09
- メディア: 文庫
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「伊藤計劃記録」「伊藤計劃記録:第弐位相」からフィクション部分のみを抽出し文庫化したもの。基本再読だけれど、時間も経っていろいろ落ち着いて読み直したので読後感的には新鮮。表題作がね、やはり良いと思う。トム・クルーズは桜坂洋の「All You Need Is Kill」の次には「The Indifference Engine」を映画化してくれないかな。無理か。危険なヴィジョンは活字のままにしておけとハーラン・エリスンも言ってる。言ってないけど。
円城塔のロングリリーフによって「屍者の帝国」が刊行されたときに、なぜだかそれをジェームズ・ボンドの話だと勘違いしててちょいと恥入ったのだけれど、今回短編版(というか絶筆版か)を読み返してなんだ俺間違ってなかったジャン!と今更。「屍者の帝国」はジェームズ・ボンドものの話であった。ジェームズ・ボンドの話じゃないけど。「ワールド・ウォー・Z」が映画化される昨今ですから、「屍者の帝国」が映像化されて良いんじゃないでしょうかすいませんまだ読んでません。
それはそれとして「From the Nothing, With Love」はやっぱり面白かった。最近だとロンドン五輪の開会式にも登場した女王陛下のマスタースパイ007号はどうしてああもコロコロ顔つきやら体格が変わるのか、俺の若い頃はもっとケーハクなヤツだったのに…という、全世界長年の疑問に迫る作品。CIAのフェリックス・ライターが毎度のように別人に見える(突然黒人になったりする)方にもオススメです。欧米では秘密諜報員に使われているこの技術、日本ではルパン三世のファミリーに実装されてるらしいぞ。
結論:東京創元社はキム・ニューマンの「ドラキュラ紀元」三部作を是が非でも復刻するべき。ハーミッシュ・ボンドの活躍が読めるのは「ドラキュラ崩御」だけ!