- 作者: B.V.ラーソン,B.V. Larson,中原尚哉
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/07/05
- メディア: 文庫
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いわゆる「狭義のミリタリーSF」というヤツは大抵の場合アレでナニなので滅多なことでは手を出さないのですが、「平凡な大学教授がUFOにさらわれて人類を救う英雄になる」ストーリー展開がアレ過ぎにも程があるだろうと読んでみる、まあ大体に於いてアレな話。戦争ってポルノだからねえ、ライトノベルと相性はよいと思うのだけれど、日本のライトノベルからミリタリーSFが激減したのは日本のライトノベルが純粋にポルノを目差した結果だろうかいやそんなこたぁないだろうと思いますけど。
「狭義のミリタリーSF」の例示としては極めて典型的な作品だと思われます。あなたが逃避させたいような主人公を設定し、あなたが逃避させたいような世界を設定し、あなたが逃避させたいような英雄的行動をしからしむる。要するにそれだけなんだけどな。読書って逃避的な趣味だよ。逃避的じゃない趣味ってなんだよ。
「サイボーグ」とか「海兵隊嗜好」とか「高性能な兵器体系を持つ割りに恐ろしいほど幼稚な地球外知性」とかわりとこー、そういうのがキーワード的概念だろうと思われる。やっぱアレだよなーこーゆーのはさー。前線指揮も異星外交も全部あいつ一人でいいんじゃないかなってところも大体に於いてナニです。
笹本祐一の「ミニスカ宇宙海賊」とか、すごく真面目にやってるんだなーと、思わされましたよいろいろ。もしかして日本のライトノベル界隈でSFが減少している原因って書き手や読み手、送り手の中にどこか「SFとは真面目でなければならない」みたいな枷があったりするのかな。強大な敵を設定して危機感を持たせる「ふりをすれば」、わりと不真面目なストーリー展開を強引に推し進めるのもアリなのかしら。そういうSFが面白いのかと問われればやっぱりNOなのだけれども
(´-`).。oO(これ主人公が女子高生だったら全然オッケイじゃあるまいか)
と、思ったことも確かでね。
解説によるとこの作品米国 amazon の kindle 自費出版が初出だそうです。それは面白いな。そんで最近のハヤカワSFの例に漏れず、表紙イラストと本文内容の乖離がひどいのは、これしばらく続くのかなー。