ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

ある作家のある作品(特に名を秘す)

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日頃つけてるこの読書日記というやつは基本的には自分のためにやってるもので、閲覧者である皆様方への配慮というのはまあ、第一義的なものではない。無論その、知見を広く伝えたいという種類の我欲はあり、そこには当然他者の存在を意識することが不可欠なのだが、それにしたってまず先に立つのは自分自身だ。

だからまあ、ネタバレだって書いてしまう。そこにある程度のことわり書きをつけたり、反転させたり「続きを読む」で隠したりの配慮はあるが、もし閲覧者である皆様方を第一義的なものとして先立たせるならば、やはりネタバレを書いてしまうのは失礼で興醒めでマナー違反な行為だろう。

(ふと思ったのだが、このような考えを持つこと自体既に「閲覧者である皆様方は当該作品に対して未読者である」とでもいった歪んだ先入観と尊大な自意識に満ちていてあまり宜しいことではない。だがこのまま続ける)

さて、ある作家のあるミステリー小説を読んで実に感嘆したのだが、肝心の感嘆した部分が作中で起きる殺人事件のまさに解決の核心なので、さすがにそれをここで書いてしまうのは閲覧者である皆様方へ対して大変失礼で興醒めでマナー違反な行為である。故に今回は作家名も作品名も隠して、ある作家のある作品で起きたある殺人事件の解決の核心部分について端的に述べる。


「凶器はカラスがくわえて飛んでいっちまったのです」なんてことを巧妙且つ(ここ大事ですよ)面白く書ける作者(特に名を秘す)はほんとスゲェなあ。


あとがき・解説などが無かったのではっきりとは判らないが、思うに作者は「ソア橋」のオマージュをやりたかったのではないだろうか。あれも大概だったけどな。

ちなみに。

この作品実はミステリーではなくてミステリーのふりをした伝奇ファンタジー風小説です。だからこそそんな解法でもありなわけです。ですからして、物語の途中で真実を知った探偵(役のキャラクター)がその真実を語る前に突然急病に見舞われてポックリ死んでしまうという一種豪快な展開もありっちゃありだろうと思いますです。

実際のところもっと変なトリックやもっとトンデモない展開をするミステリー小説だって沢山ある。けれどそういうイロモノな要素を使ってしっとり落ち着いた作品を作るというのは実に巧妙な行為だと、

きのう読んだのはそんな世界のお話。