ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

M.R.ジェイムズ「M.R.ジェイムズ傑作集」

M.R.ジェイムズ傑作集 (創元推理文庫 528-1)

M.R.ジェイムズ傑作集 (創元推理文庫 528-1)

古書店で200円という安価で入手!したあとで誰なんだかわからなくて困る(藁。
おそらく以前どこかで読んでいる(「怪奇小説傑作集1」に載ってるらしいんで多分そこで読んでる)人だが生憎記憶に残っていない…。解説によるとマッケン、ブラックウッドと並んで英国怪奇小説作家三巨匠、だそうだ。三大○○って大抵信用が置けないものだけれど、この本はかなり面白かった。

どれも短めの作品が十七編収められた短編集。どの作品も大体同じような構造で、主に19世紀イギリスのアッパーミドルな紳士方々が旅先や新居やなにやらでなにがしかの古びたものに接し、そこで幽霊や呪いやまーいろいろ…構造は同じでも構成は凝ったものがあったりしてそれほどワンパターンではない。

また大体に於いて誰かから「聞いた」話を新しい誰かに「話して」聞かせる王道な怪談形式で、しばしば語り手の主張がすごく前に出てきて「その後しばらく二人はゴルフをして過ごしたがゴルフに興味のある読者は少ないと思うので割愛する」とか「この人物は以降の物語に関係しないので名前などどうでも良い」みたいな記述が平気で入ってくるので妙にクスクス笑ってしまう。むしろそれは長所で、そこが楽しい。語り手の力って大事だなーと、改めて思わされる一冊でした。

小道具に凝った「銅版画」「縛り首の丘」など好みだけれど、二部構成且つとんでもないオチwがつく「ウィットミンスター寺院の僧房」がオススメ。いやそんな解決でいいのかよww「呪われた人形の家」もめでたしめでたし…ってめでたくないよ全然!!と、思わずノリツッコミしてまうよーな、考えてみれば変わったホラー小説だな。

そして著者もまた翻訳者にもまったく思いもよらない事だろうが、21世紀の今になって「ハンフリーズ氏とその遺産」を読み、そこに登場する「友愛の堂」に隠された恐るべき秘密を知ったとき、我々は腹を抱えて爆笑せざるを得ないのである。ホントに「友愛」の堂だよ!!