- 作者: ダニエル・F.ガロイ,Daniel F. Galouye,中村融
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2000/01
- メディア: 文庫
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ローランド・エメリッヒ製作映画「13F」の原作として…というよりゼーガペインのネタ元のひとつとしてアリゾナの老人から教えて戴く。いまは天に在す彼の人に祝福の多からんことを。
<以下ネタバレありです>
長年読みたいなーと思いつつなかなかその機会が得られなかったものを、先日テレビ東京の深夜番組で「13F」が放送されたその日に奇しくも入手することができ、順番としてはゼーガ→13F→模造世界と製作順を遡って体験したことになるのか。刊行当時(2000年ですね)本書に気づかなかったのは結果として良かったんだろうな。ひょっとしてこれを知ってたら素直にゼーガを楽しめなかったかもしれないなーと、そんなふうにも思うわけで。
あ、念のためいっときますけど別にパクリだとかそーゆー意味ではないですからね。グラビアアイドルでハァハァしようって時にまず内臓見せられても困るとゆーよーなかんじか
入れ子構造の世界、現実と仮想、自分が人間ではないと認識したときにでは魂は何処に在るのか?だいたいそんなテーマで、最後は現実の肉体を手に入れます。謎めいたヒロインや世界が消去されることへの恐怖など、うん、これは確かにゼーガペインを形作る血肉となったもののひとつだろう。「マトリクス」よりもずっと色濃く影響していると思います。「全ての運動は幻影である」とか「われ思う、ゆえにわれあり」とかテツガクテキな用語も頻出します。
その上で、基本プロットは全く変えずに舞台を未来社会から現代のアメリカに変え、且つシミュレートされる仮想現実を1937年のロサンゼルスに設定して失われたノスタルジックな世界に仕立てたエメリッヒの手腕は巧みだったんだな。監督はジョセフ・ラスナックってひとなんだけど、この類い希なる傑作バーチャルムービーがなぜ日本ではまったく話題にならなかったかというとたぶん…
「エメリッヒ?ああ、ゴジラの(プークスクス」
的なふいんき(変換できry)があったのではないか…と。こんな話を1964年に書いてんだからガロイってひとはすごいよなあ、ほとんど名が知られてないのは残念ですね。
なーんて思ってたら巻末解説で仮想世界モノSFがいくつも列挙されていてまあ、ありがちなテーマではあるのかも知れないが(笑)
関係ないけど「ゲゲゲの鬼太郎」でアパートの「存在しないはずの4階」にダルマが住み着く話と「Dr.スランプ」でセンベエさんが箱庭的なデバイス使ってあらかじめ未来の行動を構築する話(最後にデカイ猫が空から則巻家をのぞき込んで終わる回)は日本漫画の仮想現実やメタ構造ものとしては特筆すべき傑作だと思う。みんなもゼーガ見ようぜ!