ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

大森望・日下三蔵 編「年刊日本SF傑作選 量子回廊」

量子回廊 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)

量子回廊 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)

創元のこのアンソロジー、年内に既刊分は読めたかな。前回あまり季節と絡めるのはいかがなものかみたいなことを書いたけど、やはり寒い時期ってあるのかなとも思う、物故者続きの2009年分。

八木ナガハル「無限登山」と市川春子「日下兄妹」の2本のマンガが載っていて、本書収録作品ではこのふたつが最も「SFらしいSF」のように感じました。なにがらしくてなにがらしくないかはあまり深く考えないけれど、特に後者は如何にも「アフタヌーン四季賞作品らしい作品」でってなにがらしくてなにがらしくないかは(ry

ツイッターを利用した倉田タカシの「紙片50」*1ショートショートの木下古栗「ラビアコントロール」、どちらも断片的・断章的な内容で、こういうものの面白さは理屈ではなく脊髄反射的な何かなんだろうなあ。考えてみりゃ「ニンジャスレイヤー」の楽しさだって理詰めではないし、ひょっとしたらケータイ小説もそんなもんだったのかも知れないなあと、今更ながらに思う。

田中哲弥「夜なのに」がいいですねえ。過去と現在・未来の時間軸がシームレスに行ったり来たりしながらも、行き着く先はほっこりする人情話。主観的タイムトラベル巻き戻し的でもあるのか。

今回割と良く名を聞くベテラン・中堅どころ且つ初見の人が多いんだけど、名前を知らなかったひとのほうがまぁ面白かった…かな?

*1:刊行形態は文フリで売ってたリングカード形式の同人なんだって