ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

令丈ヒロ子/原作・文 吉田玲子/脚本「若おかみは小学生!映画ノベライズ」

若おかみは小学生!  映画ノベライズ (講談社青い鳥文庫)

若おかみは小学生! 映画ノベライズ (講談社青い鳥文庫)

 

 

いや久しぶりに児童書読んだぞ。児童書ってこういうものだったなぁ。小説原作の映画化作品を、現作者自らの手によるノベライズということで、元から原作を読んできた人たちにも違和感なく受け入れられるのでしょう。むかし子供だった人のために講談社文庫版というのもあるのね。

小説 若おかみは小学生! 劇場版 (講談社文庫)

 

ストーリーはもちろん映画のままなのだけれど、おっこ視点の一人称で描かれることによって場面ごとのおっこの行為行動にはどういう心情が込められていたのか、情感が深まります。その上で「語り」という行為には一歩引いて自分を眺めるような距離感も加わっていて、映画のカメラワークや躍動感ともひと味違った物語空間が構成される。映画を見てこの本を読んだ小さな読者様方が、小説という媒体、読書という行為に、映画を見る事とはまた違った楽しさを見つけてくれたらいいでしょうね。

そして児童小説に(というか少女小説に、なんだろうな)一般的な一人称視点を採ることによって、このノベライズではおっこが目にしなかった物事のいくつかが記述されない。そのことの妙もまた、映画とは違う味になっています。映画の中でいちばん好きな場面は、ピンふりこと真月ちゃんが秋好旅館を訪れたおっこを遠くから観察して、慌てて図書室に駆けこんでいくのだけれどおっこが入室したときにはそんなことをおくびにも出さない落ち着きぶり。という一連のシークエンスなんだけど、ノベライズではばっさりカットされているので真月ちゃんすっごく大人びた小学生です(笑)

映画の宣伝となるリーフレットも挿し込まれていて、こういうものがある本を久しぶりに買った気がする(笑)本書は映画公開前の発売だったので内容の中核には触れずに、「映画にしか出てこないお客様も!」などと惹句が飛んでいて、あーなるほど木瀬一家は映画オリジナルキャラなんだなーと初めて気が付きました。考えてみると全20巻プラスアルファの大作を、極めて初期のエピソードだけを使って2時間弱のストーリーにまとめるのだからかなり大胆なアレンジをしていたんですね。神楽も原作には無いそうだしなあ。

で、ちょこっとwikiを調べてみたら原作ではウリ坊も美陽ちゃんも居なくなったりしないのね。よかったよかった。

 

そしておっこに彼氏がいるのか

 

えっ

えぅ

ええ、そりゃあいるでしょうよ普通はほら、20巻もお話が続けば、ねぇ?

 

えっ