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ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

「ダークナイト・ライジング」

どうすべきか迷っていたんだけど、サービスデーまで上映続いてたんで見てきました。

公式

公開後ひと月以上経ってからネタバレも何もないけど一応以下隠しときます。
日本では語呂を考えて「ライジング」と名詞化されているけれど、原題では“RISES”と動詞の三人称。この違いは相当大きいと思うけれどもその辺どうなんでしょ?まさにダークナイトが「のぼる」様を客観的に観る訳で、現在進行形とも違うよなそれは。


事前に入ってきたいくつかの情報によって自分のハードルが随分下がっていた為(?)普通に楽しめました。2時間50分という上映時間を、あまり長くは感じなかったな。キャラクター対物語比10:0みたいだった「アベンジャーズ」に比べてこちらはストーリー偏重か。キャラの魅力ゼロとは言わないけれど、どうしたってその点前作には敵わないでしょう。


「リアル」とはクリストファー・ノーラン監督のバットマン三部作について回る、なにか呪文のようなキーワードだけれど本当にそれ「リアル」かなあ?本作冒頭の飛行機ブラ下げ&ブッタ切り誘拐シーンからして「C-130であんなことやったら即墜落ではないだろーか」と気になってしょーがない。リアルよりはむしろシンボリックな観点で見ていたような気はする。大体あの世界のアメリカにとても大統領がいるようには見えない。「リアル」では、ない。いや映ってたけどさ大統領。

引きこもりが「もっと世界を見ろ」と女にひっぱり出されて世間から突き落とされて、こんどこそ自力で這い上がって最後は街の外に出てドッカーン!だいたいそんな話。ゴッサムシティから出るとバットマンは死ぬ!とゆーと押井守的都市論に行けそうだけど考えてみりゃ前作では香港に行ってるしルーマニアまで出掛けて児童ポルノの元締め懲らしめる話とかもあったな(小説でね)

ところで「奈落」から脱出したブルース・ウェインはどうやってゴッサムシティまでたどりついたんだろう?アフリカ西部と言ってはいたが、本当はユタ州あたりではなかったのか疑惑。

3ヶ月間地底に生き埋め、水食糧こそ供給されていたものの決して万全とはいえない警察官たちがどうぞ撃って下さいと言わんばかりの密集隊形(且つ武装は精々拳銃程度)でノシノシ近寄ってくるのにべイン配下の全力イケイケ傭兵軍団(全員ドイツ製G36突撃銃など自動火器で武装)が撃っても撃ってもさっぱり漸減出来ずにそのまま殴り合い白兵戦→警官勝利っておまえらチョロすぎやろ!やはりビギンズの時に「影の同盟」主力を壊滅させておいてよかったと言うことなんだろうか(笑)


バットマンビギンズ」「ダークナイト」とこれまでの二作をきっちり引き継いだ実に硬派な「続編」にしていたのは素晴らしかった。これが日本だと前作を知らない人でも十分楽しめる内容になっています棒読みで小さくまとめちゃうところだよなあ。日本じゃ前作大ゴケの他ビギンズも大して売れてなかったはずなので、果たして見に来た人たちがどれほど(十分に)楽しめたかどうかは謎である。ラーズ・アル・グールブルース・ウェインの疑似父子的な関係とかね…


ゴードン本部長は相変わらずヘタレでした。ヘタレ中年好きには御馳走なんでしょうか?重要機密書類を抱えて下水道に乗り込んで行くとか無鉄砲にもほどがある。大抵の人間が薄々感づいてるバットマンの正体に最後まで気づかないとか面白い役どころではあり。ゴードン本部長とゴッサムシティが真実を覆い隠したように、アルフレッドもブルースに真実を隠蔽していた前作の構造がちゃんと活かされてるのは良かった。デント法が少なからずゴッサムシティに悪影響を与えたように、アルフレッドもブルースに悪影響を与えていて…だから身を引く、と。考えてみればコミックの「ダークナイト・リターンズ」と頭韻を踏んだタイトルなので「バットマンの死」を描くのも当然かもしれません。あのコミックのラストシーンもブルースの墓とアルフレッドだったよな。「ダークナイト」が如何にしてハーヴィー・デントがトゥーフェイスに成るに至ったかというお話であったのに対して、今回は如何にしてジョン・ブレイク刑事が「ロビン」に成るに至ったかというお話なのかも知れないけれど、このノリでナイトウイングなりジャスティスリーグなりをやられたらちょっと困るかなと思ったりだ。

ちなみに↑の段落では真実をひとつ隠蔽しています(笑)


ブルース・ウェインとウェイン産業はなんでもかんでも自分の足元にヒミツ基地隠し過ぎ!ウェインの秘密知りたかったらシャベル一本で全部あばけるジャン!!とか思ったもんだが考えてみればバットマンというペルソナは井戸に落ちて発見されたアイデンティティーなのでその点は仕方がないのだ。「ゴッサムシティの地下にこっそり核融合発電所を作っていたのだ(キリッ」ああ、それでこそ僕のよく知る基地外のブルースさんですよ!!


結局最後は「時限爆弾もの」になってしまったのはちょっと残念。前回の(どうしても前作と比べてしまう、イカンであります)盛り上げ方が「どちらの船が起爆スイッチを押すか」という他者への信頼の問題だったのに対して今回はどうしたって自分たちがどう頑張るかってことだからねえ、ありがちではある。おまけにこの分野は20年以上前に「俺がハマーだ!」で実に意欲的な解決法を提示済みなので、なにやったってアレにはかなわん。ものが核爆弾って点でも共通だしなあ。

「『パトレイバー2』っぽいよな」って話に関しては、まぁあなたがそーゆーならそうなのかも知れませんね、と応じる程度にはP2ぽいかなと思います。むしろ個人的にはコードギアス風味であった。え、どこがだって?そらもちろんバッドポッドにまたがり大活躍する

セリーナ・カイルの尻が

まるで紅蓮弐式にまたがるカレンのよーであった


(*´Д`)ハァハァ


ジッパーっていいよネ(・∀・)b ビシッ!!

かつてミシェル・ファイファーが演じた「バットマン・リターンズ」のキャットウーマンと今回のアン・ハサウェイのセリーナ・カイル(作中では一度もキャットウーマンとは言わないし呼ばれもしない*1)の差、違いはどこから来るのかと言ったらやっぱり「攻殻機動隊」の素子少佐か。日本アニメ風であることは間違いないと思いますハイ。


今回の結論:いろいろ御託を並べても最後は殴り合いに強い方が勝つという点でバットマンプリキュアはよく似ている。



しかし「ゴッド・ブレス・アメリカ」観た*2あとだと「YOUそんなメンドー臭いコスプレなんて投げ捨てて悪党はドカスカ射殺しちゃいなYO!」ってな気分になって困る。そういう思想に感化されるところがGBAの怖さであり面白さであるのだけれど。


あと、これは映画本編と関係ないんですけど、パンフレットがちょっと酷いつくりです。黒の台紙に薄いグレーで文字配置って読み辛くてしょうがない。おまけに本編内容と無関係な業界人のエッセイにページ割き過ぎ。いかにも「前作を知らない人でも十分楽しめます」で対照的なんだけどね。


そうそう「まさかのスケアクロウ三作連続レギュラー出演!」って言われたんだけど、どこに出てました?全然気がつかなかった…

*1:新聞記事で見出しになってたみたい

*2:http://d.hatena.ne.jp/abogard/20120801