ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

大森望・日下三蔵 編「年刊日本SF傑作選 アステロイド・ツリーの彼方へ」

 

 例によって2周ほど世の中に遅れて読む(笑)今回の収録作では表題となった上田早夕合「アステロイド・ツリーの彼方へ」と、坂永雄一「無人の船で発見された手記」梶尾真治「たゆたいライトニング」などがよかった。

 

「たゆたいライトニング」は久しぶりに読んだエマノンシリーズでいて、「クロノス・ジョウンターの伝説」とも関連し全体的な構成としては「時尼に関する覚え書」に相似している、カジシン好きならいろんなスイッチを刺激されそうな作品でした。

 

無人の船で発見された手記」はロバート・ブロックのクトゥルフ神話をもじったようなタイトルで、中身は旧約聖書ノアの箱舟…のようでいてやっぱり旧支配者的なアレがコレするスリリングなもの。クライマックスの情景は美しいと思うし、こういう作品を美しいと思う感覚は保ち続けたい。

 

「アステロイド・ツリーの彼方へ」はまーなんか流行り物でズルいよなという気がしなくもないけど猫や人口知性や健気な宇宙探査機好きにはヒットするものでしょう。

 

上遠野浩平「製造人間は頭が固い」はSFマガジン掲載時に読んでたけど、著者あとがきがかどちん節じゃなくて新鮮(笑)

 

で、だいたいこういうアンソロには「なんでこんな作品が収録されているのか」みたいな不満も多いけれど、これまではあまり気にしないで来れました、こういうものは編者の趣味嗜好だからねえ。でも今回初めて「なんでこんな作品が収録されているのか」と感じたものがあった、ということは記録しておきます。流石にタイトルは挙げないけれども。