大好きな作品の続編がぱっとしなくてガッカリ、という経験は誰にでもあるだろう。連作短編集「光の帝国」は個人的恩田陸ベスト3に入る傑作で、いわば続編にあたる2冊を読むのは少々不安があった。
が、直木賞落選記念と言うことで買ってみた。正直受賞してたら読んだかどうかわからないが(苦笑)
「蒲公英草紙」
- 作者: 恩田陸
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2005/06
- メディア: 単行本
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明治時代の東北地方を舞台にした、ひとりの少女とそれをとりまく人々の、小さくて暖かい、そして悲しいお話。「銀河鉄道の夜」とか「グスコーブドリの伝記」を連想してもらえれば良いかと。
「エンド・ゲーム」
- 作者: 恩田陸
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2005/12
- メディア: 単行本
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こちらは現代日本が舞台の超能力者もの。宮部みゆきの「クロスファイア」を思わずにはいられない。オセロのように「あれ」を裏返し、孤独に戦い続けてきた拝島家の家族たちがゲームの終わりに見たものは…
読み比べて不思議だったのは「エンド・ゲーム」よりも「蒲公英草紙」のほうが遙かに現実の自分、現代の社会を強く強く意識したことでそれは非常に興味深い。「エンド・ゲーム」が主な舞台を精神世界(?)内部の仮想現実に採っていることも無論関係しているとは思うが…実際、キャラクターの面でも「蒲公英草紙」はどこか戯画的で、パンの代わりにお菓子を出されているような気分ではあるのだけれども、なぜか心に引っかかる。
ノスタルジーという感覚は必ずしも実体験を必要としない、そういうことかも知れない。スティーブン・キングの「スタンド・バイ・ミー」はアメリカを舞台にしたノスタルジックな物語だけれど、日本人の自分が読んでもそれは感じ取れる。
「エンド・ゲーム」があまりハッピーとは思えないエンディングを迎えたから、かも知れない。恩田陸だと「月の裏側 (幻冬舎文庫)」がそんな感じの落ち着かないエンドだったような。
いや、この三冊どれも普通に面白い本だとは思うのですが、どうもどれもこぢんまりとまとまった感が強くて、ね。