- 作者: テリー・ビッスン,中村融
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2004/02/07
- メディア: 単行本
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奇想っぽいSFを読みたくなって再読。
へんてこりんな話満載の短編集で、しかしやはりSFである。基盤は科学だ。表題作「ふたりジャネット」はアメリカ南部の片田舎に文学作家達*1が訳も無くわんさか引っ越してくる話だし、「英国漂流中」は大ブリテン島が訳も無く大西洋を渡ってアメリカ東海岸まで来ちまう話だし、「熊が火を発見する」は訳も無く熊が火を発見する話だ。
…あんまり科学と関係ないかもだ。
あーいやその、読後感はどれも爽やかで前向きな話が多い。それでこそSF!変な話ばっかりだけどな*2
しかししかし、満を持してオススメするのは唯一シリーズものとして連作短編が載っている<万能中国人ウイルスン・ウー>シリーズでばっちりSFしてます!!
どこでもドアみてーな扉を使って月面から中古車を拾ってくる「穴の中の穴」、道端に捨ててあるタクシー運転手用ビーズクッションを壊して宇宙収縮の危機を救う「宇宙の外れ」、時間と空間を盗み出し独自の宇宙を分離させ結果マンハッタン中の飛行機バス地下鉄を時刻表通り平常運転させるという恐るべきレイディオ・ジャーム博士の陰謀を中古の白黒テレビのコンセントを引き抜くことによって食い止める「時間通りに教会へ」の三本で
…いやどこが科学なのかと言えばだな、作中で万能中国人ウィルスン・ウーが
科学方程式
で次々に問題を解いていくからだ。
インチキくさいんだけど
…おれ文系なんでよくわかんないんですけど
……作者も文系なんでよくわかんないんですけど
SFはハッタリで言いくるめなんです!ホラーよりもホラ話なんだぜ??
*1:ジョン・アップダイク、ソール・ベロー、フィリップ・ロス、E・L・ドクトロウ、ウィリアム・スタイロン、J・D・サリンジャー、ジェイ・マキナニー、ノーマン・メイラー、ジョン・アーヴィング、トーマス・M・ディッシュ、トム・ピンチョン、ジョイス・キャロル・オーツだってさあ何人知ってるかしら
*2:時間を越えた大恋愛が最後の一行であっさり…な「未来からきたふたり組」のラストは実に笑います