- 作者: 古処誠二
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2004/09
- メディア: 単行本
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文庫版もありasin:4087463087
古処誠二、二冊目。津○陽が文句言ったのはこれだったか?ともあれ面白い、良いなーと思う。戦争に限らずなのだが人に行動を起こさせるものは上から来る命令といったタテ関係ではなくて同僚戦友あるいは社会といったヨコ関係の意識だってところが良いのだろうな。「戦争における人殺しの心理学」asin:4480088598がそういう事例を扱っていて、共感し得る。日系二世の米軍兵士という題材は格別珍しいものではないし、その葛藤って葛藤しないわけが無いのだが、その描き方ひとつで面白い話は作れるもので。
シビアでシニカルな言動はもう一歩踏み込めばノワールとかピカレスクになりそうなものだけれど決してそんなことは無く、ハードでドライな心情は最後の2ページで綺麗なものへと昇華されて…
泣かずには居られぬ。
こういうお話こそ映画になってほしいものだなと、つくづく思った。が、日本人には無理なんじゃないかなーとも思わざるを得ない。良いとか悪いとか、黒か白かとか、1と2しか数字が数えられないとか、そういうことでは多分無いのだ。
旧日本軍は世界で最もこまめに日記をつける軍隊だったという。翻って日本のブログ事情は圧倒的に「日記」としての用法が大だ。(なにしろここもそうだ)
そしてそういう場所にあって嘘偽り無い自分自身の心情を吐露できるかといえば、それはやっぱり難しいんだ。