第1巻を読んだときにもっとも気に掛かったのは「はたしてちゃんと続くんだろうか…」だったシリーズの第2巻。この先もはたしてちゃんと続くんだろうかと気に掛かるけれど(笑)、今巻はSFブーム到来と題して70年代に活躍した第二世代SF作家とその諸作品が挙げられている。
…第6巻には「第6世代SF作家」が載ったりするんだろうか。なんというセンスオブワンダー!
野田昌弘「レモン月夜の宇宙船」や梶尾慎治「美亜へ贈る真珠」といった現代でも普通に読める作品があるのは嬉しいことで、それは40年近く不変の価値を保ち続けた名作、古典化への階梯ということになるんだろうか。そういうものを同時代的に楽しんできた人たちはちょっと羨ましい。自分たちの世代には、じゃあ何があるんだろうね?
(あくまで自分を基準にして)著名な作家の未知の作品を読んだり、(あくまで自分を基準にして)未知の作家の未知の作品を読んだりと(あくまで自分を基準にして)新しい知見を得るのは楽しいな。今回の収録作だと山尾悠子の「遠近法」が何よりベスト。巻末解説のひとたちは「SFというより幻想世界」「科学小説ではないんですけどイマジネーション豊かに不思議な世界を創造する作風」などの評をしているけれど、自分の世代には自分の世代に通じることばがあって、
山尾悠子の「遠近法」はなんだかアフタヌーン四季賞受賞作みたいな小説です。
これもいずれ通じないワードになるんだろうと、思うけれど。
板金屋の親方がガソリンタンクを改造して作った宇宙船で地球を飛び出しちゃう石川英輔「ポンコツ宇宙船始末記」や一見するとタイムパラドックス男女実は人類創世アダムとイブな鏡明(鏡明だぜ!!)「楽園の蛇」など流石に今ではやりづらい――出来ないと言ってるわけではない――作品も見受けられる中、女の子の横断歩道がアパートに押しかけてわたしと結婚してしてと迫ってくる横田順彌「深夜の訪問者」の空前絶後さには素直に感服するww