ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

ジョン・コリアー他「怪奇小説傑作集 2」

怪奇小説傑作集〈2〉英米編2 (創元推理文庫)

怪奇小説傑作集〈2〉英米編2 (創元推理文庫)

本書に収録されているJ.D.ベレスフォード「人間嫌い」が良いと聞き、読む。昔からある創元のこのシリーズ、つまみ食いで全部は読んでなかったなー。たしか「柳」の入ってる巻は読んでる。たぶんラヴクラフトがらみで…

で、2巻です。聞いた通り「人間嫌い」はなんとも言えない後味の悪さがこれはいいなー。L.P.ハートリィ「ポドロ島」やジョン・コリアー「みどりの想い」は他書で既読の作品だけれど読み返す甲斐のある名作でやはり素晴らしいセレクション。新装版ということで荒俣宏が思い出、回想を多く込めた*1文章を書いているのだけれど、旧版から付されている編者平井呈一の解説がやっぱり面白くて自分にとっては半世紀以上前の作品でも当代にあってはモダン・ホラーだったのかー!などいろいろと感慨深くあります。

個人的に本書でイチオシなのはE.M.テラフィールド「帰ってきたソフィ・メイスン」で、超常・心霊現象の在り/無しがたったこれだけのボリュームで並立し、幽霊を題材にしているのに祟りとか呪いとかそういうものでは全然ないところに「恐怖」を持ってくるのがすごいなあと思いました。

そう、教科書だよねこれ。一通り読んどかないとイカンなぁ。

*1:ところで、若いころのアラマタ先生はビックリして眼鏡がズレるほどにスマートでハンサムである。紀田順一郎「幻想と怪奇の時代」参照asin:4879842508