ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

[メモ]習慣とは脅威である。ということ

 友軍機を見殺しにしてでも帰投せよという任務は非情である。この任務を遂行するスーパーシルフの乗員にはコンピューターなみの冷徹な心が要求される。<特殊戦>の戦士たちは、まさしくその要求を満足させる、常識的な人間性基準から逸脱した“特殊”なパーソナリティを持っている者が選ばれている。彼らは人間よりもコンピュータの判断を信頼し、完璧に愛機を操る。彼らはスーパーシルフに搭載されたもう一つのコンピュータ、“有機系”戦闘コンピュータであるかのように、非情に任務をこなす。
 彼ら戦士は、出身国も育ちもさまざまだろうが、FAFは戦士たちの過去を記録したパーソナル・ファイルを公開していない。特殊戦にとって重要なのは戦士の過去ではなく、彼らの“何かの手違いで人間になってしまった機械”というべき人格なのだ。
 現在の対ジャム戦闘にはこうした人間が求められているのだ。そして、そのこと――人間の非人間化――こそがジャムの目的かもしれないと、最近私はそう思う。そうでないにしても、<特殊戦>が最も対ジャム戦力として有能であるとするならば、ジャムとの戦闘がつづくかぎり、こうした戦士が増えつづけることになる。これは地球人類にとって脅威である。

引用元はこれ。旧版だが多分新版もさほど変更はあるまい。

戦闘妖精・雪風 (ハヤカワ文庫 JA 183)

戦闘妖精・雪風 (ハヤカワ文庫 JA 183)


緊急地震速報に慣れてしまうことは人間の非人間化であり、地球人類にとって脅威である。