- 作者: クリステル・ヨルゲンセン,マイケル・F・パヴコヴィック,ロブ・S・ライス,フレデリック・C・シュネイ,クリス・L・スコット,淺野明,竹内喜,徳永優子
- 出版社/メーカー: 創元社
- 発売日: 2010/10/19
- メディア: 単行本
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いつか読もうと思いながらも冊数とページ数から敬遠してたシリーズを、とあるきっかけで3巻だけ読んでみる。なるほどこりゃおもしろいなー。「小官は純粋に軍事的な事柄のみを考慮したいのです」だかなんだか、そんな感じ。極めて作戦級で大学時代にこういうのが読めていればもう少しできたかもねと、思うような。
近世という用語は「中世と近代の間」という極めて即物的な日本語なのだけれど、純粋に軍事的な観点では中世騎士と近代国家との間に存在した国民国家の軍備の話で、傭兵から常備軍へ、騎士団から戦列歩兵へと、まあだいたいそんな感じの時代です。騎兵が主戦力から補助戦力へと転落していく過程の時代でもあって、類書のなかでもあまり取り上げられない「短銃騎兵」とその戦術が結構な内容で記述され、興味深い。馬上では再装填もままならない前装式のマッチロックやフリントロックの短銃を、4丁も5丁も抱え込んで「敵に銃口を押し付けて撃つ」ような戦闘方法では高度に訓練されたマスケット小銃歩兵の前には大して役にも立たない訳で。
訓練、ひとえにただ訓練に尽きるのだろうな。ナポレオンが登場し民主主義国家が国民皆兵制度というバケモノを野に放つまでは軍隊というのは高度に訓練された少数動員兵力に依って立つものでね…とか。フリードリヒ大王はやはり偉大だ。
同時代の代表例となる戦闘には鳥瞰図による兵力移動の詳細が描かれていて、短期間で終わってしまったNHKの歴史番組「名将の采配」みたいな楽しさがあります。もっかいやってくんないかな、アレ。