- 作者: 天祢涼
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/02/05
- メディア: 新書
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第43回メフィスト賞受賞作。メフィスト賞ってそんなにやってんだ!とそこに驚いて手に取る。驚くところそこかい。
なんかひさ〜しぶりに講談社ノベルスらしいミステリーを読んだ気がする(笑)ほとんど信用のおけない視点キャラクター、適度に信用のおけない探偵、まったく信用のおけない登場人物に三人称的叙述と一人称的叙情が混濁する地の文といかにもこなれてない感じが実にらしいなあと思う。「共感覚」という、例えば耳で音を聴くと同時に目には色が視える状態など、そういう一般の人間とはちょっと異なる体質が主題に採られていて、しかしこのフィクションで記述されるものと現実のそれらとはどこまで共有されるのか、その点には置いてはうかつに信用が置けない。なにしろ知らない世界である。
一見すると不可能犯罪のように思われた事件が美少女探偵音宮美夜の活躍によって解決を見るのだけれど、ツジツマはあってもおい本当にそれでいいのか的に辻褄が合うのも、いかにも講談社ノベルスです。「新本格」かどうかは知らにゃい。
如何にも続きが書けそうな「設定」で、しかしこれって一度やったら二度は使えない種類の「ギミック」じゃなかろうかと、ちょっと心配になる。続巻は書かれているそうなのですけど。
あ、ダメ出しをしてるように思われたらちと心外です。こーゆー作品好きなのですよ…と、それはいささか共感し辛い種類の感情かも知れないなあ。