- 作者: グレアム・ジョイス,浅倉久志
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2004/05/25
- メディア: 文庫
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面白かったけど感想を書くのが難しい類の小説だなー。事故で妻を失くし傷心のまま教職を辞した主人公のトム(英国人)が旧友(女友達)の住むエルサレムに旅して、そこで出会う不思議な人々と怪異の連続、そしてトムにはある秘密があり…と、あらすじは大体そんなもの。現代のエルサレム(物語の中でラビンとアラファトの和平会談が語られる)を舞台にしたマジックリアリズム作品のようでいて、全部はトムが見ていたマボロシでしたというオチでもある。形式的には後者の形で結末が語られるのだけれど、果たしてそれが真実なのかと疑問を持たせられる騙りでもある、ような。
主人公が疑念を抱えた宗教教育の教師だったり場所が場所だったりするので「キリスト教」に関する内容がかなりのパートを占める。重要な小道具として長年隠匿されていた死海文書の一部が登場し解読された内容が実はマグダラのマリアはイエス・キリストの妻で
ま た そ ん な 話 か よ !
と、危うく本をブン投げそうになったのも事実なのだが(笑)
主題的には宗教よりは男女の関係、愛やセックスと抑鬱される精神とか、まーそんなところか。私立高校の教師が女学生にムッシュムラムラするのは洋の東西を問わないそう世界はエロゲ脳に満ちています!!
「たのむ。落ちついてくれ。自分のジン*1を退治しようとしたことはない。彼女こそわたしに課せられた刑罰だ。わたしの贖罪だ」
「え、まさか?あなたは自分の苦悩と恋におちたんですか?」
「そうなったのはわたしだけだろうか?」
まったく男ってホントにつまんねー生き物ですね、自分がツマラナイ生き物なので実によくわかります(w
パレスティナ人のアフマド君の行為と死はイエスをなぞっているのかなーとか思わされけれど、自分にはキリスト教の知識がまったくないのでその点特に大声では主張しない。
あ、そうそう以前NHKのドキュメンタリーでエルサレムの聖墳墓教会とか「悲しみの道」といった新約聖書に書かれた事物がそのまま残ってるのを見て結構ビビったんだけど、あれって後世の創作だったのか!スゴクだまされた気分ww
*1:酒ではなく幽霊・妖精の類