- 作者: アダム=トロイカストロ,Adam‐Troy Castro,小野田和子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2011/03/10
- メディア: 文庫
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これまでいろいろ書いてきてなんだが、自分は読んだ本のあらすじを説明するのが非常に苦手である。出来ればamazonのリンク先に飛んで本書あらすじを見てきていただきたい・・・ものだがお手間をとらせるのも本意ではないので直接はりつけてしまへ。
“AIソース”と呼ばれる人工知性集合体が深宇宙に建造したシリンダー型ステーション“111”。直径千キロ、長さ十万キロにおよぶ巨大構造物で、殺人事件が発生した。この特異な世界に生息するウデワタリという生物を研究中の女性職員の一人が殺されたのだ!事態を重く見たホモ・サップ連合外交団は、敏腕捜査官アンドレア・コートを派遣したが…奇怪な世界を舞台に美貌の女探偵の活躍を描く傑作ハードSFミステリ。フィリップ・K・ディック賞受賞。
…普通は引くよねコレ(´・ω・`)実際手に取るのをしばらくためらってたんだけど、どこかで聞いた名前の著者が「ワイオミング生まれの宇宙飛行士」*1のひとだと気づいて読む。うん、あれ面白かったもんね。共著だったけどね。
で、実際読んだら面白いのですよ。すごく面白い!けれど魅力を伝えるのは難しいな…
一番はやっぱりキャラクターだと思う。アンドレア・コート参事官は本書全体を通じてムラサキウニが二足歩行しているような魅力にあふれているんだけれど、それが最後にはバフンウニが二足歩行しているような魅力に変わります。なんというセンス!オブ・ワンダー。ウニ食いたい。
次に世界か。舞台となるのは日本人なら「サイド3タイプの閉鎖コロニーですよ」で通じる円筒状の建造物。けれども植民地ではないのでコロニーではなく「ハビタット」と呼ばれます。人類向けに建造された訳ではないので、人類の居住空間は中心軸付近だけです。その中心地域(地?)にはあらすじにもある通り、テナガザルとナマケモノを交配させて知性化したような「ウデワタリ」なる生物が暮らしていますが、降下するにつれて大気は酸性度を増しドラゴンが遊弋し(ホントに絵に描いたようなドラゴンである)、円周付近に何が住んでるのかは神のみぞ知る。神様いませんけど。
そして、そこで起きた殺人事件の謎を解くミステリー要素とだいたいそーゆーつながりですね。
バックボーンとなる背景設定、人類その他の知的生物連合と、完全に異質な知性体として在る<AIソース>の関係性とか、そこで生活している人類、特にこのステーション111で労役に付く「年季奉公人」やアンドレアの属する「外交団」での勤務が年期制の奴隷労働みたいなもんであるとか設定面でとっつき難さはあるかも知れません。しかしアンドレアの視点で記述される語りは訳文のテンポの良さもあって読みやすいものかと思います。
何が起きてるのかよくわからないけれど、何かが起きたことはよくわかるという点ではむかしの士朗正宗マンガぽい雰囲気はありますね。3Pとかもね。
いや、ページ数じゃなくて(*´Д`)
ウデワタリのみなさんはほんとにいい人ぞろいです。ヒトじゃないけど。ゆっくり戦争していってね!!!!