ヨーロッパとアフリカの関係というのは極東に住んでる身の上ではワカランことがいろいろある。特捜部Qシリーズ5作目の今回はデンマーク外務省と大銀行幹部によるカメルーン開発計画を巡る汚職と殺人事件…なんだけど、話のキモとなるのはタイトル通り事件の真相を「知りすぎた」マルコ少年の逃亡劇です。犯罪組織からの「抜け忍」モノみたいな物か。共同生活を営む集団が実は犯罪組織で、彼らが「ロマ」であるという設定には難しいところに手を突っ込みそうだナーとか思ったけれど、あくまで「自称ロマ」であって実際にはヒッピー/フラワームーブメントの成れの果てみたいな存在で安心したりしなかったりだ(なんだよ)
例によってキャラクター描写は安定しています。謎解きよりはアクションメインで、分厚いボリュームに関わらず実に読みやすかった。新登場のキャラもあり一線から退く人物もありでまあ色々だ。相変わらずアサドくんかっけえ。ラストは結構ベタなんだけれど、そのベタさ加減が良いんだろうなと思うのです。
そして相変わらず悪党はムジヒに死んでいくのであった。これが本シリーズ独特のものなのか、死刑制度を廃止したヨーロッパ社会での犯罪小説全般のあり方なのか、そこはちょっと興味の湧くところです。
映画化された「檻の中の女」は日本でも公開されるそうだけど、扱いはかなーり地味なモヨウ。
http://www.ttcg.jp/human_shibuya/topics/detail/33765
デンマーク産のミステリー映画じゃ仕方ないかなーうーむ