ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

D・オーギル「戦車大突破」

戦車大突破―第一次大戦の戦車戦

戦車大突破―第一次大戦の戦車戦

副題には「第一次世界大戦の戦車戦」とあるが、原題に「ARMOURED ONSLAUGHT 8th August 1918」とあるように、1918年の連合軍による戦車攻勢を主題にしたもの。よって1916年の世界初の戦車投入とかその辺の話はほとんど載ってないので注意。

とはいえ、モリナガ・ヨウ先生の「私家版戦車入門1」を読んでからの派生だったので、いわば「私家版戦車入門1」asin:4499231744の続きとなる時期の話を読めたのは却ってよかった。時期的には「第一次世界大戦の終焉」*1とほぼ同じなのだけれど、テーマは絞ってあるし戦闘描写は多いしで読みやすい。コンパクトな分量でよくまとまっているので、それこそモリナガ先生のイラストでもつけて復刊してくれないかしら。「日本では第一次大戦物は売れない」のは一にも二にも知名度の問題があって、例えば本書でも描かれているMk.A中戦車ホイペット「ミュージックボックス」号の奮戦とか、ルーデンドルフ攻勢を頓挫せしめたフランス軍ルノーFT軽戦車群とか、スポット当てればいくらでも輝きそうなエピソードがいくつもある。もっと知りたいし、知られてほしいよな。

思うに、日本のミリタリー出版、特に戦車関連のそれが、ひとつにはジャーマン・クレイジーであること、もうひとつには資料に当たらず伝聞推定で記述するライターがウヨウヨしてることが、間口を狭めてるんじゃないかなーと、思うのだ。近年はだんだん改善されてきてるとも思うんだけどね