「死の鳥」に続く近年になってようやく編まれたハーラン・エリスンの日本オリジナル短編集第3弾。今回ストレートに「アメリカ社会における黒人差別」を扱った作品があって、なるほどこの人は「SF作家」ではないのだろうなと再認識。スペキュレイティブ、スペキュレイティブですよ皆さん。
ベトナム戦争の傷痍軍人を扱った「バジリスク」や、ひたすらグロテスクな「血を流す石造」など、モラルに反するようでしかしインモラルではないような、なにか上手く説明がつかないのだけれど危険なビジョンが内包されている作品揃いで、やっぱりエリスンはクールでかっこいいのだ。「冷たい友達」を読んで、皆もピザの作り方を覚えるような人になりましょう!(さわやかな笑顔で)
表題作「ヒトラーの描いた薔薇」もインというかアンチ・モラルなところがあって良いんだけれどヒトラーも薔薇も話に関係なさすぎ吹いた。いや、出てくるんですけどね、ちゃんとね。