謎の感動。
[SFとはめまいだ」というテーゼをぼくは高校生の頃に読んだ早川の「SFハンドブック」で知った(山田正紀の寄稿エッセイ「もっと、めまいを」に基づく)のだけれど、久しぶりにそういう読後感を得た気分。表題作を始め基本バカっぽい話なんだけれど、
バカっぽい話にだって人は感動するので、
有り体にいってぼくはこの本で大きく感情を震わされた訳です。表題作は前に読んでたんだけどね、伊藤計劃関係ねぇよなあやっぱりなあ(http://abogard.hatenadiary.jp/entry/2017/06/03/102718)。
「意識とはアイドルによって個人へとダウンロードされる。」
「魂とは何か?それは十一次元へと向かう余剰次元である。」
「電磁波はエーテルの波であり、声を震わすことで声優はビームを撃つことができる。」
うむ。
(なにが「うむ。」だ)
ハヤカワSFコンテストに「ラブライブ!」の二次創作を持ち込んで物議を醸した話は巻末解説にも書かれてるし今後も語り継がれる出来事でしょう。少なからずそれを批判するひとはいるでしょうし本書自体も賛否はあろうかと思います。しかし、宇宙の誕生や生命の進化という仰々しいテーマを掲げて、それをこれほど読み易く提示する筆致を褒めたたえずしてどうするか。いやこれSFなのかホントに? ただのバカ話じゃないのか?? などとこころの片隅で暗黒物質が囁くのだけれど、
ただのバカ話がSFじゃあないなんて誰が決めたんだ。
いやほんとうに、良いめまいと良い読後感を得られました。3つある収録作の中では「食べないでくださーい💦」と言われても遠慮なくバリバリ食べる「エヴォリューションがーるず」がいちばんだな。進化なんてソシャゲのガチャみてーなもんだろ!!
そしてすべては百合で紡がれる。