ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

チャーリー・ジェーン・アンダース「空のあらゆる鳥を」

 

びっくり、セカイ系小説でした。 

なんと懐かしい響きかー!

 

魔法使いの少女と、科学者の少年。どちらも天分の才に恵まれ、どちらも家庭生活や社会環境で孤立している二人が幼くして出会い、様々な障害にあって別れ、成長して再会するも世界はやがて崩壊の危機を迎え、その中で対立する2つの陣営に分かれた2人は…という「キミとボクのセカイ」かと思いきや、驚天動地のラストで実は全然別の「キミとボク」が世界を再構築するのであった。

 

うむ。

 

ネビュラ賞ローカス賞のダブルクラウンか。

 

うむ。

 

男女の毀誉褒貶、浮き沈みの激しいところはいかにもイマドキのアメリカ作品であって、キャラクター・アークを書いたら面白いでしょうね。お互い齢を重ねる中で別々に恋愛しパートナーを得てまた別れてようやく2人はお互いを…というクライマックスで悲劇がドカンと降ってくるところも実にイマドキだ。

作者がトランス女性で同性愛者だとあってそれはつまりどういうことかと考えて、ああヴァージニアスのフィーリアちゃんですねと2秒で結論が出たのも実にイマドキである。