- 作者: ナンシー・クレス,Stephan Martiniere,田中一江
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/04/30
- メディア: 文庫
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「本の雑誌」今月号連載コラムで池澤春菜嬢が推薦してたので、読む。そのコラムの主題は「はじめてSF読もうってひとに勧めやすい」だとかそんな内容だったけど、最近のSFにどうもとっつき難さを感じて手を出しかねてる向きにも良さそうだと、そういう感じを受けて。
で、実際読みやすい。むしろ古臭すぎて心配になるぐらいwむかしのアメリカSFってこんな感じだったよなーうーん。宇宙軍の新人士官候補生がはじめて単独試験飛行した宙域で遭遇したトラブルとその顛末を描いた小品「初飛行」なんかはイマドキこんなオチを書く人が!いるだなんて!!著者ナンシー・クレスの生まれは1948年なんだそうでそんなにイマドキの人でもないのかも知れませんが(苦笑)「初飛行」は2006年の作品なんだなうううむ。
表題作「アードマン連結体」ほか老人が活躍する作品が幾つかあり、21世紀SFは後期高齢者が勝利のカギだ!と思ってるひとはいまから必読ですよすよ。
あとがきはこんなかたちでまとめられている。
十数次元の空間に棲息するデータ生物の尿意に感情移入しなければわからないといった作品が苦手な読者にSFを楽しんでもらうとするならナンシー・クレスをお薦めしよう。彼女は、どれほど奇妙な世界にあなたを連れてゆこうとも、必ず人間に帰ってくる、弱い、どこにでもいる人間に帰ってくるからだ
解説者の言いたい事が実によくわかる人情味溢れる文系SFなんだけど、どうも表紙イラストが作品の雰囲気にはあってないような気が。思うに最近のSFに(自分が)感じるとっつき難さって大部分はイラストなんだよな・・・と。
ところで「十数次元の空間に棲息するデータ生物の尿意に感情移入しなければわからない」作品ってなんですかそれ??