ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

「生賴範義展 THE ILLUSTRATOR」見てきました

上野の森美術館にて2月4日まで。 入場時にやや行列したものの、館内はスムーズに周れてよかった。映画ポスターや人物画、広告イラストなど本当に数多くの作品を手掛けた人だけれど、やっぱり自分にとっては本の絵の人、「文庫本のカバーイラストを描いてる人」というイメージが強いので、会場内のいわゆる「生賴タワー」に圧倒される。 

 

f:id:abogard:20180113200056j:plain

 

たまたま先日にツイッターで言及してた「シャトル防衛飛行隊」もあったので、まあ気持ちが上がるわ上がるわ(笑)

 

撮影可能エリアも広くハッシュタグを使った拡散を展示会側で推奨していて、通常の美術展と比べてもちょっと異質な内容でした。でも考えてみれば、アカデミズムやアート指向とは違う、広く大衆娯楽に目を向けていた「イラストレーター」の回顧展としては、こういうスタイルが相応しいのかも知れません。(むろんオリジナルの大作もあります)

 

いろいろ圧倒されているのであまりまとまってないのだけれど、小説なり映画なりの内容を媒体するメディアとしてのイラストのちからを、ちょっと考えさせられました。世界的な名声を博した「スター・ウォーズ/帝国の逆襲」ポスターも、断片的な情報を元にいったん作品を解体・再構築してウエイトを置き直した結果ああいうものが出来上がっているわけで、そういう2次いや1.5次創作とでもいうべきクリエイトの技を存分に見せられた気分です。プラモデルのボックスアートと似てるよねこの辺ね。

 

徳間の「SFアドベンチャー」の表紙を飾った美女画がまあエロいのなんの。エロい割にいやらしくはないむしろカッコイイという感じの絵で、女性の目にはどう映るんでしょうねこういうものはね。目のちから、視線の力強さが良いのだけれど、やっぱ巨乳もいいよなあおっぱい万歳だよなあ…

 

f:id:abogard:20180113201323j:plain

 

各キャラクターは歴史・伝説上の人物などがモチーフになっていて、それぞれを象徴する小道具、背景などが描かれてるのが面白いです。上の画像の「デリラ」では手に切り落とした髪の毛のような束を持ち、サムソンと思しき兵士が背景に居る。時間や空間が容易に跳躍されるのはSFでアドベンチャーだからだ!

 

自分が最も愛好していた早川文庫NVのいわゆる冒険小説の表紙画は残念ながらあまり無かったんだけれど、ひとつ気がついたことがある。生賴範義の戦争画ではあまり青空を描かない。薄暮や黎明、あるいは曇天や硝煙に覆われた空など暗い雰囲気のものがほとんどだ。これは作家性ということなんだろうなあ…

 

いやさ実に満足でした。期間が一か月と短いのが残念で、もう少し長ければもういちど足を運んでみたいものでね…