ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

ロバート・ブートナー「孤児たちの軍隊 ガニメデへの飛翔」

孤児たちの軍隊: ガニメデへの飛翔 (ハヤカワ文庫SF)

孤児たちの軍隊: ガニメデへの飛翔 (ハヤカワ文庫SF)

「宇宙の戦士」と「月は無慈悲な夜の女王」と「人形つかい」をミックスして今風に味付けしたような作品。

…ホントにただそれだけなんでビックリしました。ガニメデから質量爆弾投げてくるナメクジ型異星生物と戦うためFMJ的訓練キャンプに新兵放り込んで…と、まーそんなんだ。アフガニスタンに派遣された米兵の間で大評判になったというけれど、21世紀になっても人類とそのエンターテインメントはちっとも進歩してないということなのかなあ。著者の人は1947年生まれで元陸軍情報士官の経歴を持つそうだけれど、登場する兵器類・戦闘描写が(SFにありがちな理由づけはいろいろ説明されているけれど)精々ベトナム戦争のそれで止まっているのは、当人にそこまでの知識や情報しかないからなんだろうなーと下衆な勘ぐりさえ芽生えてくる。軍隊で物を言うのは人脈のコネだっていうのは、いつの時代でも変わらないことだろうとは思いますが。

表紙イラストを久しぶりに加藤直之画伯が手がけていて、本文の描写と合致する一枚を描かれています。そこは流石だと思います。

変な話だけどこれ読むと「老人と宇宙」シリーズのジョン・スコルジーってうまい人だったんだなーと、あらためて再認識出来ますねえ。