- 作者: 松原茂生,遠藤昭
- 出版社/メーカー: 戦誌刊行会
- 発売日: 1996/04
- メディア: 単行本
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「まるゆ」や「あきつ丸」なんて昔は結構濃いめの軍オタ会話にしか出てこなかったような名前が「艦これ」のおかげで一躍メジャー化する昨今、考えてみれば自分もネタ的な話しか知らんよな…と、あらためて知識を得たくなり読んでみる。明治の建軍から太平洋戦争の敗戦までに至る旧日本陸軍の船舶運用・作戦行動について一冊に纏めたもの。
冗談めいて語られることの多い「陸軍の空母」「陸軍の潜水艦」ではあるけれども、それらは決してその場の思いつきで生まれたような兵器ではなく、それなりの必然があって建造されたものだと、そういうことはわかります。上陸作戦を担うのは陸軍の担当であり*1そのために必要となる揚陸艦、占領地域を維持し兵站線を保持するための可潜補給艦、そういうものとして作られた存在な訳だ。船は海軍が造れよと思わなくもないけれど。
上海事変や日中戦争での上陸作戦・渡河戦闘についての記述では「装甲艇」が活躍していて知見を得るところが多いです。あれも陸軍の船だけど、あんまり話題に取り上げられませんね。「大発」なんか相当革新的な設計で、陸軍がフネ造ってたからって笑うことばかりではないのさ。
民間傭船はもちろんのこと徴用漁船についての記述もあるんだけれど、どこか「陸軍寄り」というかうーん著者の視点に?いささか乗れない感が、ややありでね。
貴重な内容で良い本だとは思いますが。
*1:海軍陸戦隊って専門の揚陸部隊じゃないのだ