- 作者: ダドリー・ポープ,内藤一郎
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1978/08
- メディア: 文庫
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休みの合間に読み返した、というかペラペラページをめくってた一冊。何度も読み返してるんで今更だけど、最近全然本読んでないからこれでブログを付けておく。
グラフ・シュペーのエピソードを初めて知ったのは、小学生の頃に子供向けの海外ノンフィクションで「シュペー号のさいご」だったか、そんなようなタイトルの一冊でした。それはたぶん本書「ラプラタ沖海戦」を翻案したものだったんじゃないかと思うのだけれど、ともかく子供心にポケット戦艦シュペー号の活躍と最期は強く印象に残っていたようで、「宇宙戦艦ヤマトIII」でラジェンドラ号の回を見たときに、こりゃシュペー号の話じゃないかと直ぐに察する程度には軍オタ気質なガキでしたな。実際日本人(に限らないけど)受けする史実ではあり、他にも日本のフィクションで装甲艦グラフ・シュペーを元ネタにした作品は、例えば「航空宇宙軍史」の「巡洋艦サラマンダー」などが挙げられます。「機動戦士ガンダム」のジオン軍重巡洋艦「チベ」のデザインなんかモロにドイッチュラント級のそれなんだけど、あれには何か理由があるんだろうか。
水上艦艇、それも商船に擬装した仮装巡洋艦ではなく正規の海軍艦艇を、単独で通商破壊任務に投入するというのは流石に時代遅れの戦術で、グラフ・シュペーがそれなりの戦果を挙げられたのも、1939年という時期の影響、赤道以南の南大西洋とインド洋という場所の影響でしょう。連合軍の航空戦力が潤沢に投入できるようになれば、到底生き延びられない任務ではある。そういう時代錯誤的なところも、グラフ・シュペーの悲劇性に何かの「味」をね、つけているのでしょうね。
民間船舶への襲撃とはいえ、Uボートと護送船団の戦いとは相当様相を異にする、どこか紳士的で礼節を以って事が推移するのはまあなんだその「いい話」ではあります。被害を受けた船舶に負傷者は出しても死者を出さなかったこと、両軍共に国際法規を遵守して行動することなど、第二次世界大戦の中でも珍しいケースなのではないか・・・とも思う。モンテビデオ港に追い詰められ、自沈して果てるある種の「潔さ」も、グラフ・シュペーが愛される理由なんだろうなあ。ラングスドルフ大佐が強行突破を図らなかったことは、それ自体は批判する向きもあるんだろうとは思うけれど、結果として死んだ人間の数を減らしたことは、間違いないところで。
映画にもなっていてDVD化もされていますが、そっちはあんまり面白くは、ない(笑)。艦艇のキャスティングがクレジットされるという、ちょっと珍しい戦争映画ではあるんだけれど。
読み返すたびに思うこと、考えることは微妙に違ってくるもので、今回この「ラプラタ沖海戦」を読みながら強く感じたのは
艦娘ってキングストン弁ついてるんですかね(迫真)
という、素朴な疑問(ヒドイ)