ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

美少女ロボプラモデル「MoMo」を作ってみた

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そもそも「MoMo」とは何ぞや。キュルチェル型ってなーに?というところから話さなけらばならないのですが、詳しい説明についてはこちらをご一読ください。 簡単に言えば島本娼弘氏オリジナルデザインのロボット美少女をプラモデル化しようというクラウドファウンディング企画のリターン品で、一般販売されているものではありません。

なのでこの記事を読まれた方が「どれちょっと作ってみるかな」などと思われても、いまからの入手は難しいかも知れないです。いちおう念のため。

 

しかし以前からワンダーフェスティバルで(ディーラー名「侵略ロボ」で参加)見かけて気になっていたフィギュアがプラモデル化されるかも?と聞いた時は嬉しくて通常盤・限定版ふくめて三体分の支援を行いました。プロジェクト達成までは非常にスムーズでしたがその後いろいろあって2年ぐらいかな、待っていたのですが漸く手元に届き、そして待たされただけの素晴らしいキット内容に感服している所存であります。

 

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ランナーごとにキット内容を見て行きます。こちらはAランナーで、今回組んだのはホワイトを基調に黒の差し色が入る「オルカ」と呼ばれるもっともスタンダードなモデルです。基本は色分けごとに異なるランナーで成形され、無塗装のままでもほぼオリジナルイラストと同等の配色でくみ上げられるマルチカラー成型。

 

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Bランナーにはハンドパーツなどが含まれます。そして実は、

 

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2枚入っている、左右で共有されるパーツはひとつの枠にまとめて2枚抜く。というのはロボット(に限らずですが)プラモによくある設計で、しかし実はこのキットでいちばん気にいってるのはこのBランナーが2枚あることだったりします、詳しくは後述。

 

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Cランナーは差し色部分で黒成型。インナーウェアやスパッツを思わせるようなパーツが主です。

 

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Dランナーは武装やアクセントとなるパーツが集まるシルバーの成形色。オリジナルの配色ではゴールドになっている箇所も散見されるので、部分塗装してみても良いでしょう。無論全塗装も全然オッケイだと思われます。

 

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Eランナーは関節構造用のポリキャップでこちらも2枚。当然、専用設計であります。

 

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デカールこそ含まれませんが組立て説明書はブックスタイルの豪奢なもので、MoMoの世界観、基本設定の解説も記載。

 

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全ページフルカラー印刷で図版も大きく、非常に読みやすい説明書となっています。こういうところがしっかりしているのは、CFならではの購入者すなわち出資者という事情も影響しているのでしょうね。なんにせよありがたいことです。

 

この他特典としてミニポスター、ポストカードも付属しましたが本記事では割愛します。

 

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女性的な曲線美の中にメカニカルなディティール、ラインが走っているイラストの雰囲気を余すところなくプラモデル化。多くのパーツはアンダーゲートで成形され、ゲートカット部分が露出しない設計となっています。またアンダーゲートの処理については組立て説明書にページを割いて、マンガ(門口ナオ氏による)でわかりやすく説明がなされ、これまでプラモデルを余り組んだことが無いような方にも目を配った、親切で丁寧なパッケ―ジングですね。

 

基本はスナップフィットで組めるのですが、一部接着が奨励されている箇所もあります。なるべくなら接着剤をはみ出させることなく綺麗に仕上げたいものですから、流し込みタイプの接着剤を少量使うのが良いでしょう。

 

 

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組み立ては頭部から。女性のヘアスタイルについては語彙が乏しい身の上、ショートボブ調ということで宜しいのでしょうか。フェイスマスクの下に黒い「目」が見えるのが実によいですなー。

 

なお「髪部の組み立て」行程で図示されているパーツのNo.がB-6とB-7で数字が入れ替わっております。組んでれば手の方で別段迷うことはないだろうと思いますがご注意。

 

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ニュートー様まで造形されている肉感的なバスト部分と、一転してメカニカルな背中のラインが対照的です。なおこの部分は動力系、いわばエンジンと燃料タンク的な機構が備えられており、機体によってサイズ差があり(!)バスト部分が大きな機体はハイパワーであるが鈍重、小柄な機体は俊敏でピーキーな動きをするという設定があります(特典小冊子の記述に基づく)。すばらしい設定ですね!!!!

 

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正中線やヒップラインは実にえろす!肌というよりは薄いインナーを纏っているようではあるので、塗装するにあたってはレザーファッション系の資料を見ても良いかもです。資料です、あくまで資料なんです。領収書ください。

 

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腕はすいませんちょっとこの画像では解りにくいんですが、肘関節の位置(というか上腕と前腕の位置関係)がちょっと人体のそれとは異なるレイアウトになっていて興味深いところです。必ずしも人体のシルエットをトレースする訳ではないというのも最近のロボットコンテンツの流行りではあるのかな?

 

また腕部の組み立て過程ではA-1、A-2、A-8とされているパーツは誤記で、正しくはB-1、B-2、そしてB-8です。

 

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脚の長さはMoMo最大の特徴ではないかと勝手に思っております。とくに膝下からヒールに流れるラインの美しさは絶品であり、思わず頬ずりを

 

 

しないよ(´・ω・`)

 

 

そしてやはり膝関節はちょっと人体とは異なるラインで繋がっているのがわかる…といいんですがどうでしょうか…。

 

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全身を組み立てて前後から。特典小冊子に書かれているMoMoのデザインについては、敢えて「不気味の谷」を狙った旨の記述があります。昨今流行りの美少女プラモデルは人間の女子に鎧的な外装を装着していくのが大まかなセオリーですが、人間のスタイルを取りながらもやはりこれは異形のロボットであり、ひとの手では届かない、ひとの知では理解できない、どこか彼岸に存在するモノなのかも知れません。うむ( ˘ω˘ )

 

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関節可動範囲は(事前に危惧したほど)狭くはなく、実際いろいろなポージングが出来るのですが、そのまま立たせるにはなにかスタンドを用意した方がいいでしょう。figma用のが使えるとかなんとか。

ともあれ、同じ1/144スケールということでギガノス帝国メタルアーマーゲバイと並べてみました。サイズ感をわかっていただけるでしょうかってなんでわざわざわかり難い例を出した!言えッ!!

 

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付属武装としてハンドガンと2種類の刀剣が付属。「じゅうりんされて黙っているのか!?」はMoMoのシリーズのキャッチコピーですが、ぜひ何かを蹂躙する様を作ってみたいものであります。設定によれば当初は”宇宙怪獣(仮)”と戦っていたMoMoも、既に怪獣討伐は終わって普通にMoMo同士で戦争したりしているらしいぞ。美少女ロボ同士のサツバツな戦闘!ご褒美!!

 

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なのでいろんなシチュエーションを考えてもいいと思うんですよ。リョナっぽいのとか鹵獲されたとのか、なんかゴーモンぽいのとか趣味で(/ω\)

 

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武器ホルダーパーツが4個ありますので身体の各所に取り付けることも可能です。またこれらのジョイントは3ミリ径が採用されているので、他社製品のパーツを流用することも可能でしょう。

 

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ジョイントとは関係ないのですがバンダイの鉄血シリーズからデカいソードを持たせてみました一見華奢な美少女ロボがゴツイ鈍器を振り回して辺り一面をボコスカして周るというシチュエーションに萌えない人は人間味が足りないと思うんですよぼくぁ(早口)

 

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そしてこちらは組立て後に余剰となるパーツ類。主にBランナーに集中していて、この他Eランナーのポリキャップがいくつか残ります。特筆すべきはフェイスマスクと髪パーツがほぼ1セット余ることで、本来1セットあれば済むものを意図的に2セット入れている模様。これはつまりどういうことかと言えば、これらをベースにオリジナルの改造をしてみませんか?という製作者からの問いかけ、導きなのでしょう。こういうアプローチは大好きですね。惜しむらくは「よし、じゃあもう一個追加しよう」などと思っても既にCFプロジェクト自体は完了しているので、新規購入ができないのですね。

 

宮沢あたりで流通しないかナーと勝手なことを言ってみる。勝手だ(´・ω・`)

 

最後になりますが、ひとつ。クリエイターのオリジナリティあふれる著作物に対して「何かに似ている」と評するのは本来失礼でNGな行為です。しかしこのプラモデルを、このデザインを見ていると、様々な先駆者たちによるいくつもの作品やデザインの反響や波紋がここに伝わっているのだなと、思わずにはいられません。それはつまり、日本の文化がこれまでに豊潤な感性を持った様々なデザインや作品を産み出し、それぞれが積み重なってきた実績があるのだということでしょう。今後も不用意な規制や権力の濫用を受けることなく、自由に作品が発表できる環境、それが受け入れられる社会であることを願ってやみません。こうしてひとつのデザインがカタチとなって世の中に出る、ささやかながらそのお手伝いが出来たのは、自分にとって大変な喜びであります。この企画に参加できたことに感謝しつつ、今後の展開に希望を持ってもいいのかなあ。いいよねえと、そこは信じて行きたい。一度良い金型を作れば、いくらでも作れるのがプラモデルの良い所なのですから。