ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

モリナガ・ヨウ「プラモ迷宮日記 第3集[フラットレッドの巻]」

 

アーマーモデリング誌連載イラストコラム、第3巻*1。おおむね2012年~2020年の掲載分とプラスαというかたちで、タミヤMM50周年記念や2014年の菱形戦車Mk.IV発売関連などお祭り気分満載である。そもそも表紙のナースホルンからしてMM第一世代的にはお祭り気分であろうなーと、そういう1冊。

これはいったいどういう本だろうなーと、発売日前日に手に入れて直ちに読んで、その後ずっと内容について考えてました。「私家版戦車入門」のときにも感想書いたよな、と思ったけれどそっちはツイッターでやってたのね。

 

「私家版戦車入門1」感想まとめ - Togetter

「私家版戦車入門2 戦車の始まり ドイツフランス篇」感想まとめ - Togetter

 

そいえばルノーFTの記事は単行本収録されていないんだよな。「私家版戦車入門」も止まってしまっているようで、戦間期とかやってほしいんだけどなあ。

 

閑話休題

 

若干扱うテーマが違っているとはいえ、根底に在るものは上記2冊と変わらないといって差し支えないでしょう。柔らかいタッチのイラストと温かみのある書き文字、令和のいまにあってアナログの良さがたっぷり詰まった内容です。目の付け所の良さ、それを知らしめるスタイルの面白さ。実際にプラモデルを作っている人なら尚更、そうでなくても「プラモデルを作ること」は楽しいのだなと、とても判り易く提示されています。模型雑誌のほとんどのページと違って製作途中の状態で、プレゼンとしては完成されている。そうですね例えばこれらのページにあるものは「作例」ではないのですね。無塗装素組みのキットレビューでもない。これはなんだろうなあとしばらく考えていました。

 

追体験、なのかも知れません。モリナガ先生の手の動きや視界に入ったところを、それはどういうことだったのか読解して共有する。ちょっとそういう働きがあるように感じます。かつてはAM誌付属DVDが先鞭をつけた模型製作動画もいまやyoutubeをはじめ花盛りではありますが、もしも「VR模型製作動画」みたいなものがあれば本書のやっていることと近い感覚に、もしかしたらなるかも知れない。

 

いや、ならないだろうな。

 

AM誌に初めてイラストコラムが乗ったのが1998年のこと、かれこれ20年以上が過ぎて本書掲載分の記事では過去の連載で取り上げたキットをもう一度取り出して回顧するようなページもあります(だいたい旧トライスター製品)。読んでるこっちも懐かしいけれど、なんだかひとりの御人の「人生」を垣間見るようでそんなのフツーは模型雑誌読んで思うことじゃないぞ(笑)。生活と密着するような所も多々あって、ずいぶん前に「ニッパー2度切り」を伝授されていたお子さんがいつのまにかMGジンクス組む中学生になっていたり、更に「前にガンプラ作ってた長男」からホコリの溜まったトップコートもらうとか人生!ああ人生!!

 

普通は模型雑誌読んでそんな気分になりません(´・ω・`)

 

AM誌掲載以外のページでは「RC WORLD」誌に掲載されていたRC戦車の試遊レポート*2が面白くて、当時小学生のお嬢さんがガルパン経由でいろいろ楽しんでる様がほっこりで、たしか「ガルパンを見ていた娘がいつの間にか本当に女子高生になっていた」とかあったよなーとやっぱりこの本は人生を読んでますようむうむ。

 

他にもベア子さんフンメル子さんIV号戦車子さんとかいろいろあるけれど、本書めくって最初のページ(2ページ)のアタマにあるナースホルンの機銃架について「省略されたU字の銃架を作りたい」ってありまして、そこがいちばんのツボ。うふふってなりました。

 

人生ああ人生ですねまったくね。今後とも長期連載を願って止みません。あとAMはフィル連載も単行本化すべき。

*1:とはいえ既に「私家版戦車入門」2巻でまとめられているものもあるので実質的には5冊目か

*2:ハイテックマルチプレックスジャパンの製品だと思われる