ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

フレドリック・ブラウン、シャーリイ・ジャクスン他「街角の書店」

いわゆる「奇妙な味わい」小説を集めたオリジナル・アンソロジー(中村融編)。いまどきこういう物を文庫オリジナルで出せるのは創元ぐらいなものだろうなあ。ファンタジーというかホラーというか「奇妙」な小説ばかりで、いささか地味めな内容に心配もするけれど、ジャンル・プロパーなファンタジー小説やホラー作品は苦手だという向きには合っているのかも知れません。フジテレビの「世にも奇妙な物語」好きな人とか。
短編小説18篇の著者人としてはSF・ホラー界隈の有名どころのひとが多いです。代表として挙げられている2名以外だとロジャー・ゼラズニイジャック・ヴァンスフリッツ・ライバーにハリー・ハリスンと、著名でファンも多い作家の知られざる逸品を読める良さ、というのは確かにある反面、ネームバリューが無ければ微妙かも知れないナーと感じたこともまた確かである。シャーリィ・ジャクスンの「お告げ」はなんとまあほのぼのお婆ちゃんコメディで、「ずっとお城で暮らしてる」とか「くじ」とかオッカネー話ばかりのイメージとは違ってまあビックリしたのだけれど、でも内容ガどうなのかといわれたらうーむ、少なくともいまの出版業界じゃ世に出て来れないんじゃないかなあこれはとか、そんなことを考えた。ロジャー・ゼラズニイの「ボルジアの手」もまあベタな話でな。テクニカルではあるのだけれど。

しかし表題作であるネルスン・ボンド「街角の書店」は実にいい。この作家日本では児童書で訳出されてるそうだけど(岩崎書店だけれど)、たぶん今回が初読だろうなあ。書きたいけれど書けない人にはザクザク突き刺さるような内容で、これは是非「世にも奇妙な物語」で映像化すべきww