ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを (ハヤカワ文庫 SF 464)
- 作者: カート・ヴォネガット・ジュニア,浅倉久志
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1982/02
- メディア: 文庫
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ふと本棚からとりだしてそのまま勢いで読み終えてしまった。最近だと爆笑問題の背の高い方が「タイタンの妖女」イチオシで有名なカート・ヴォネガットだけれど、自分が高校生だった頃合い最も好きで最も影響を受けた作家である。
ちなみに最も好きで最も影響を受けたのは「タイタンの妖女」でもこの「ローズウォーターさん――」でもない(笑)
ヴォネガットを知らない人に説明するとだいたいこんな感じである。
・主人公は大抵イカレポンチの精神病患者。
・身の回りにいるのは「愚かしく、貪欲で、意地悪で、エゴイストで、好色で、醜悪で、インポで、インチキで、嘘つき」(ジュディス・メリル評)な人々。
・テーマは愛。
いや、本当ですよ?
大金持ちの億万長者で上院議員の息子であるエリオット・ローズウォーターさんはいろいろあってインディアナ州ローズウォーター郡ローズウォーター市で義勇消防団の副団長と貧民救済財団の総裁をやっている。奥さんは重度の神経衰弱に陥って離婚調停中。それとは全然関係なく本人はアル中。
だいたいそんな話なんですが(どんなストーリーなんだ)この本にはひとの人生に必要な事が全部書いてあります。
ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」にも人生に必要なことが全部書いてあるそうですが、大丈夫こっちで足りる。第一ドストエフスキーの作品にはSF作家が出てこないじゃないか!(ひとの人生にはSF作家が必要です)
人生に必要なこととは何ぞや。
「こんにちは、赤ちゃん。地球へようこそ。この星は夏は暑くて、冬は寒い。この星はまんまるくて、濡れていて、人でいっぱいだ。なあ、赤ちゃん、きみたちがこの星で暮らせるのは、長く見積もっても、せいぜい百年ぐらいさ。ただ、ぼくの知っている規則が一つだけあるんだ、いいかい――
なんてったって、親切でなきゃいけないよ」
世の中早々、上手くは行かないものであるが。