ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

カート・ヴォネガット「キヴォーキアン先生、あなたに神のお恵みを」

ヴォネガットはいま天国におります( ˘ω˘ )

 

まあ変な本だ。本人の医療事故による臨死体験?をきっかけに、ラジオで放送された「死者との架空会見記」を活字にしたもの。それはO川R法とどこか違うのかと言われればまあ違わないんだけれど、書いた本人も読んだ読者も、実際に死者の魂がカート・ヴォネガットと対話したのだなんてことは、誰ひとり信じていないだろうと思われる。いやひとりぐらいは信じた人がいるのかも知れないけれど(´・ω・`)

全編人を食ったような内容で、著名人から市井の人まで、取り上げられるのは実在した人物です。詳しくは訳者あとがきでも読んでくだされ。唯一掲載されている生者の発言が「キルゴア・トラウト」へのインタビューなので、推して知るべし( ˘ω˘ )

 

後半は「神様と握手――書くことについての対話」という別の内容が合本されていて、ヴォネガットと作家リー・ストリンガーとの対談が2つ掲載されています。ストリンガーという人は全然知らないんだけれど、『グランドセントラル駅・冬』というホームレスの生活を赤裸々に描いた作品でデビューした直後の頃の話(1999年ね)だそうな。ヴォネガットは最後の作品『タイムクェイク』を発表した直後で、新進気鋭の若手作家と老境も佳境なベテランとの対話で、特に2冊目の作品について悩むストリンガーに対するアドバイスが最高です

カート [リーに向かって]書く必要なんかないよ。

リー  なるほど……(笑)。

 

まあ最後まで人を食った爺さんだったんだなあと、そういう1冊です。