カート・ヴォネガットの初期未発表短編集として「はい、チーズ」(http://abogard.hatenadiary.jp/entry/20140821/p1)につづくもの。こちらは「普通小説」を中心に集めたもので、なんていうかのその
普通だ。
普通に「気の抜けたO・ヘンリ」みたいな作品が続くのでちょっとツラいところも、無きにしも非ず。本文よりはむしろデイヴ・エガーズ(誰?)による解説の方が面白かったりするのだけれど、それでもこれら若き日の習作群の中に、後年の作品が持つ輝きの片鱗は確かにみられる。そういう気分も味わえる。
収録作の中では「ペテン師たち」が良かった。才能と才能の欠如、魂と魂の欠如、それを埋めるなにかは、じゃあどこにあったのか…というようなおはなし。