ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

カズオ・イシグロ「わたしを離さないで」

わたしを離さないで

わたしを離さないで

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

実際読んだのはハードカバー版。



あーう〜ん、なんだろう、むずかしいなあこれ。気分はSFなんだけど、世の中的には違うんだろうな〜〜〜〜
こういう話を「SF」として書いちゃうと埋没するんだろうなというのは予想ではなく実感で、読んでる間どうも既読感があるなあと思ったら平山夢明の「テロルの創世」*1っていうのがうん、同様の存在を扱ってるなぁ…もちろん別種の作品、違う種類の存在なのだけれど、知っていて触れずにいるのはアンフェアだろうなと。先行してるしね。

「就職活動は大学3年から!」みたいなポスターを見かけて、なんだか徴兵年齢が緩和された1945年のナチスドイツに迷い込んだような気分になったことがあって、本書の感想はそんな感じだ。訓練された先にで放り込まれる所に、意義や価値を見出すのは個人であって「場」や「時代」ではあるまいが。

学生時代って随分いろんなハードルを越えさせられたものだけれど、いざ越えてみてまず言われるのは「これまでのことは無意味です。新しいことをゼロから始めなさい」とかそんなのばかりで、では自分が通り過ぎてきた道が無意味で無価値かというと、なるほど確かにその時々には意味があり価値があると信じていたものごとが、実際無意味で無価値なものに成り下がっている…ような。そういう話ですかね。


今でも古い仲間や友人が時折夢に出てくる。

目が覚めると何を見たのか憶えていない。


夢に見たことが悲しいのか、見た夢を忘れたことが悲しいのか、どちらなのだかはよくわからない。

*1:初出は「少年の時間」asin:4199050345ってアンソロジーで、現在は「ミサイルマンasin:433492557Xって短編集に入ってるそうだ