ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

ドナルド・E・ウエストレイク「泥棒が1ダース」

シリーズ「現代短編の名手たち」第三巻だが、しかしウエストレイクが没してそろそろ一年になる。普通死んだ人間というのは「過去」の存在に類別されるはずだが出版業界とはまったく恐ろしいところで、何の躊躇も無く死人を酷使して利益を上げるのだ。同様のことが映画業界音楽業界TV業界美術業界建築業界と多いな。

ともかくその、ドートマンダーものでは初の短編集で12本を収録している。1本だけ「ジョン・ラムジー」なる名前と身長が違うだけ(でもないが)のキャラが登場する作品があるが、その成立過程は著者本人が述懐している。恐るべき映画業界のしわざだ!

どれも愉快でセンシティブなクライム・コメディ揃いだけれど、とりわけ「悪党が多すぎる」が面白かった。いつものように相棒(wのアンディー・ケルプとドートマンダーが下水道の壁を破って銀行の地下金庫に侵入すると、中には・・・

思うにドートマンダーのシリーズは日本では複数の出版社、更にはそのなかでも複数のレーベルで刊行されていて、人気が長続きしている割りにはいまひとつ恵まれていない(まるでドートマンダー本人のようだな)角川はともかく早川のミステリアス・プレス文庫で出てたヤツって今じゃ入手できないんじゃないかなー。いや、ブクオフじゃよく見かけるんですけどね。あとテレビ東京午後のロードショーでもう一回「ホワイ・ミー」を放送してくれろ。