- 作者: R・F・ヤング他,ジャック・フィニイ,中村融
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2009/10/10
- メディア: 文庫
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ほぼ一年前に出た本だけどジョセフィン・ティのほうの「時の娘」asin:4150727015が復刊されたもんだと勘違いして読まずにいた一冊。決して骨折した人がベッドの上で歴史ミステリーを解くお話ではなくw中村融の手によるタイムトラベルSFアンソロジー集なのです。
タイムトラベルといえばぁぁぁあ愛です。どうして時間旅行と恋愛とはこんなにも相性がいいのか。ハインラインの「夏への扉」しかりロバート・ネイサンの「ジェニーの肖像」しかり。編者あとがきで面白かったのはそういうタイムトラベル恋愛ロマンスって日本では根強い人気を持つものの、決して本国アメリカでは評価の高いものではないとかで、*1あーもー、おまいらは死ぬまでトマトケチャップとマヨネーズを食って居やがれとゆー感じであまくせつないタイムトラベルロォマンスは日本人好みの作風らしいぞ。梶尾真治しかり、笹本祐一しかり。
多分、「時間の壁」というわかりやすい障壁を「超える」ことが恋愛の成就と結合し易いのでしょう。本書に収録されている作品もその多くはめでたしめでたしで終わるお話が多いです。その一方バート・K・ファイラー「時のいたみ」は大変解りやすい理由で過去に戻ってきた男が、大変ロマンチックに過去を修復し、最後の2行であまりに現実的な結末を迎える苦い小品だったり、表題作にもなっているチャールズ・L・ハーネス「時の娘」は確かにこれハッピーエンドなのだけれど、一体だれにとっての幸福なのか、いろいろ考えさせられる。ひょっとしてタイムトラベル恋愛小説ってある種の側のSFファンが勝手に崇敬しているだけで、対岸の人たちはもっとフクザツなんじゃネーノ?とか、まぁ…いろいろです。
それでもやっぱり個人的にイチオシなのは「ジョナサンと宇宙クジラ」や「たんぽぽ娘」で名高いロバート・F・ヤングの「時があたらしかったころ」でうわ甘酸っぺぇ!オトコって単純、だがそれがいい。まるで「のび太の恐竜」を思い起こせそうな白亜紀恐竜時代アクションシーンもたっぷり*2と既存の作品とは一風ちがった体を装いながらも、最後はめでたしめでたしで…
あ、これ「たんぽぽ娘」と構造が同じだ。
有名な作品なんですが今は絶版なのかな?本作の解説には「これを表題作とした短篇集が、他社から刊行の予定と聞いている」とあるけどまだ出てないよね?むか〜し読んだことがあるんで内容はものすごくよくおぼえている。「ファイブスター物語」の10巻107〜115ページあたりを読むべし。大体そんな感じ。つまり、
タイムトラベル恋愛小説で幸せを得るのは、
ロマンチストとロリコンである。
そりゃ日本でウケてもアメリカじゃ全然なわけだよなァ(´・ω・`)
*1:確か向こうのハインラインベストは「月は無慈悲な夜の女王」とかだったかな?個人的には「ルナ・ゲートの彼方」がベストだが本稿とはまるで関係が無い