- 作者: 白石雅彦
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2006/07
- メディア: 単行本
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稀に、秀でた人を讃える表現として「神の子」という言葉があるけれど、本当に「神様」の子どもだった人ってどういう生き方をするのだろう。
円谷一は「特撮の神様」として名高い円谷英二の長男であるひとです。開局間も無いTBS(開局当初はKRTと云ったそうだ)に所属しながら出向として円谷プロで「ウルトラQ」をはじめとする特撮TV番組製作にひろく係わり、英二没後は自ら円谷プロの社長となって「帰ってきたウルトラマン」など第二次怪獣ブームを巻き起こす立役者となりましたが、若くして倒れ1973年に亡くなりました。享年41歳。
昔からよく名前を聞く人だけれど、まとまった話を読んだり聞いたりすることは無かった。円谷の特撮シリーズ立ち上げに関わる映像作家としてはメインストリームにいたひとだけれど、後年語られるのは当時はあくまで傍流にいたひとだったりするんだよなーと、先日川崎でやってた実相寺昭雄展を見てなんとなく。初期のウルトラシリーズをメインで語ると金城哲夫に話が向いちゃうパターンというのも、仕方がないことか。
そんな感じで「古い特撮の話」を読みたかったのだけれど、実際読んでみたら特撮以外の「古いテレビドラマの話」がかなり面白くて大アタリでした。昔のTVドラマがスタジオからの生放送だった話はよく聞くけれど、フィルムやロケ撮影など「映画」的要素が入り込んで来た時に「生でなければテレビの良さは生かされない」みたいなちょっと(ほんとにちょっとだけですが)今のニコニコ生放送に通じるようなリアルタイム指向とか初耳です。「キューポラのある街」って今見るとおっかない話だよなとか知らなかったなー*1
今とはもちろん違う時代だから単純に比べちゃいけないんだろうけど、「ウルトラセブン」が
しかしその後視聴率は伸び悩み、3月24日放送の第25話「零下140度の対決」が28.6%を記録したのちは30%台に回復することはなかった。
そういう今では考えられないようなレートでスタッフが苦悩して体壊したりクニに帰っちゃう人がいたりって大変な時代だ…
当時の記事、周囲の人々へのインタビューなど非常に丁寧な取材で出来あがってる、良い本だと思います。円谷プロって決して企業としては優良では無かったんだろうけれど、ファンとして惹かれるのは企業らしからぬ体質なんだっていうのはたぶん我がままでしょうね…