見た。1クール作品の多い昨今のTVアニメ業界にあって久しぶりの2クール作品、そのボリュームに十分応じるだけの濃厚で重厚な1本だった。
実は原作も昔のアニメもその内容はほとんど知らなかったし、多宝丸に至っては存在すらまったく知らなかった。だからかもしれないけれど実に新鮮にファーストインプレッションを楽しめたように思います。
未消化なまま終わった原作にル=グウィンの「オメラスから歩み去る人々」のようなテーマを付与して、そのうえで最後は原作のようにまとめるのだなー*1。「どろろと百鬼丸」それぞれの道は別々に続いて、そしていずれはもう一度交錯するような余韻。
良いですね。
「るろうに剣心追憶編」の古橋一浩監督だけに殺陣は相当気合が入っていて、特に両腕を取り戻した百鬼丸のリーチがわずかに伸びるのと、それに対峙するために多宝丸が城内に誘い込む流れとかいろいろ。そして現代風なテーマ化と思いきや、どろろの精神性はなんか手塚作品っぽいんだよな。それもきっと大事なところで、醍醐景光が鬼神にならないというのも、同じくらいに大事なことなのでしょう。「オメラスから歩み去らない人々」の、これはそういうお話なんだと思います。
しかし人形みたいな男とその相棒である小さな良心というのはピノキオとジェミニィ的ではある。あるいは石森章太郎の「人造人間キカイダー」との差異を求めても良いかも知れない。