ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

シオドラ・ゴス「メアリ・ジキルとマッド・サイエンティストの娘たち」

まーイマドキなお話…ですね。19世紀のイギリスを舞台にジキル博士の娘メアリ・ジキルと、彼女の周りに集う「マッド・サイエンティストの娘たち」という設定はたしかに秀でたものがあるけれど、彼女たちが何をするかと言えばシャーロック・ホームズと協力してホワイトチャペルの連続殺人の謎を追う、というのはちょっとベタ過ぎないかなあと(笑)3部作の第1巻でまだキャラクター紹介の面が強いにしても、スーパーヴィクトリア大戦みたいなお話も、かの有名なキム・ニューマンの「ドラキュラ紀元」はじめ切り裂きジャックを扱った作品って多いからなあ…

キャラクターはね、実際魅力的です。ジキルではなく「ハイド氏の娘」として現れる腹違いの妹ダイアナ(ロウワ―少女)、原典通り「ラパチーニの娘」であるベアトリーチェ(ポイズン)、獣人の島の生き残りである「Dr.モローの娘」キャサリン人類ネコ科)、怪物の花嫁として死から蘇った「フランケンシュタインの娘」であるジュスティーヌ(巨女)など個性的な面々…のなかで、メインヒロインのメアリだけが普通に普通の人過ぎてそこは弱いんだけれど、厨房メイドのアリスが可愛いので全部許す。可愛いは正義。

「アテナ・クラブ」を結成することになるそれぞれのヒロインたちは、それぞれ古典小説を出自に持つのだけれど、それぞれがそれぞれに男性に傷つけられたり裏切られたり捨て去られたりした過去を持つ。ジェンダーというかフェミニズム小説みたいな感はあり、だからこそだと思うのだけれど、古典小説を出自にする「彼」を悪漢にしちゃったのはまあどうなんだろう?巻末でエクスキューズは入れているけれど。 

本文は事件の回想をキャサリンによる執筆で著わしたもの、という体を取っていますが、ところどころでというかしょっちゅう、その原稿を見ている他のメンバーからのツッコミが入ってきます。慣れると面白いけど当初鬱陶しかったのは確かだw

まだまだ謎めく「錬金術師協会」の存在と言い、周辺人物がチラホラ顔を出す割りに当人が姿を見せない古典小説のキャラ(Dで始まる人、人じゃないけど)など気になる要素はいくつもあり、全3巻刊行されると良いのですがさてどうだろう?