ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

ユッシ・エーズラ・オールスン「特捜部Q ―アサドの祈り―」

 

特捜部Qシリーズ第8巻。これまで様々に示唆されてきた特捜部Qの主要メンバー、アサドの過去が明らかになる一冊。シリーズ開始当初よりハードな内容、陰惨な事件を提示し続ける特捜部Qだけれど、今回はアクション方面でもハードで陰惨な一面を提示する。

詳しい内容はamazonのリンク先でも見ていただければと思いますが、これまで自分は特捜部Qシリーズを少なからず「今のヨーロッパ社会」を描写するものとして受け取って来ました、今回は特にその傾向が強いように思います。今のヨーロッパ社会が何を考えているのか、何を恐れているのか。そしてそれはヨーロッパだけでなく欧米むしろ日本、元より自分自身でさえも同じようなことを考え、同じようなものを恐れている。そういう現実に直面させられたような気分になる。

たぶん自分も日本も欧米社会も全部が全部、この30年間に手ひどい失敗をしていて、いつかそのツケを払わされる日が来ることを恐れているのじゃあるまいか。

お話は解決するけれど、解決した後はどうなるのだろう?シリーズは全10巻の予定だというけれど、今後アサドのキャラが持つ「謎」の魅力は減ってしまうだろうし、「釘打ちステープル事件」とハーディの回復についてはやや引き延ばし過ぎという気がしなくも無いのですがさて。

 

ああそうかアフィーフの存在がカギを握るのだろうな…